聞きなれた音が響いて、空気が騒めき始める。終了の合図と共に席を立って、廊下へと飛び出した。
靴がリノリウムの床を踏むと、きゅっきゅっと音が鳴る。今までの静けさとは一転、解き放たれたように騒がしい中、ただただ真っすぐに足を進めた。
はやく、はやく、はやくっ。机の上を片付ける余裕もなかった。焦りが背中を押して、気持ちだけがどんどん前へ進むのを、体が必死に追いかける。普段ならあっという間の距離が、今は途轍もなく長く感じた。
廊下は走らない。幼い頃から言い聞かされた決まりをこんな時でも律義に守ろうとしてしまう。走ってはいけない。でも早歩きで、出来る限りはやく、はやく。
足が震える。膝が震える。は、は、と呼吸が短くなるのは早歩きだからなのと、内側で荒れ狂う衝動を押さえつけているから。
廊下の一角、ぽかりと口を開けたその場所が近付いてくる。目的地はもうすぐそこだ。そう思うと、張り詰めていた気持ちがじわりと緩む。その瞬間、激しい衝動がここぞとばかりに両手を広げて、体の内側から溢れ出んばかりに暴れ出した。
あ、あ、だめっ、だめだめだめっ。疼くような嫌な感触がお腹の下あたりでじんと響く。
咄嗟に手で触れそうになって、でも周りには人がたくさんいることを思い出す。震える手は握りしめて、せめてもの抵抗に太ももをぎゅうと寄せた。
まだだめ、もうちょっと、あと少しだから。重くて鈍い衝動を必死に押し留めて、震える足をもう一歩踏み出した。
中に入ると、誰かの背中が見えた。ぶつかりそうになって、慌てて足を止める。
よく見れば、背中の前にはもう一つ背中があって、その前にも更に一つ。その向こうには待ち望んだ緑色の扉があるけれど、無情にもぴたりと閉じていた。
使用中の個室の前に三人が列を作っている。全く想像していなかった光景に息を飲んだ。信じたくないけれど、状況は何度瞬きをしても変わらない。
目の前の背中が揺れて、肩越しにちらりとこちらを見る。その視線に慌てて姿勢を正す。
奥を見ると、本来ならば使えるはずの扉に張り紙がしてあるのが見えた。そのせいで現在使える個室はたったひとつだけ。この列もそれが原因のようだった。
その向こうからじゃーっと水を流す音が聞こえて、背中にぞくぞくと悪寒が走った。お腹の奥がきゅうと縮むのを感じて、体が身震いする。
扉はまだ開かない。三人の後ろで考える。ここにいるよりは、他の階に行った方が良いだろうか。
でも、たった三人。そんなに時間は掛からないはず。あとちょっとだ。それなら、ここで待っていよう。そう思って、私も並ぶ背中のひとつとなった。
+++
あと三人。たった三人。あとちょっと。もうちょっとだから。
床がタイルのせいか、この場所はひやりと寒くて、薄い上履きの内側で足先が悴んでいく。何もせずにじっと立っていると、お腹の奥がぞくぞくと疼いて、それが全身に広がっていく。
ああ、だめ、トイレに行きたい、はやく、はやくっ。
身動きせずに我慢するのは辛くて、時折体が限界の悲鳴を上げる。気を紛らわす為に、その場でさり気なく足を動かして体勢を変える。
そうすると少しは楽になるけれど、それも一瞬だけ。またすぐに悪寒が強くなっていく。それを誤魔化す為に、また足を動かす。
靴がタイルを踏んできゅっと音を立てる。三人もいるのにここは静かで、その音はよく響いた。
じっとしていられずにもじもじ動いていると知られると思うと、恥ずかしくてたまらない。出来るだけ動かないようにしたいけれど、そうしていると衝動はどんどん強くなる。だから静かに、出来るだけそっと足を踏みかえた。
静けさの中、再び水を流す音が聞こえた。その瞬間、三つの背中とその後ろの私が背筋を伸ばした。
少しの間を置いてから、扉が開いて中から人が出てくる。それと入れ違いに、一番前の背中が個室の中へ吸い込まれていった。
列はあと二人になった。あとちょっと。もうちょっとだから、我慢、我慢。そう思うけれど、体の内側で暴れる衝動は時間と共に強くなっていく。僅かに残っている余裕ががりがりと削られていく。
お願い、お願いだから、はやく。少し前へ進んだけれど、私と扉の間にはまだ二つの背中がある。
中から水音がする。音消しの音はまるで呼び水の様で、ぞくぞくとした悪寒が更に強くなる。少しでも気を逸らそうと顔を背けると、手洗い場の鏡がふと目に入った。
鏡の中の自分は眉を潜めて強張った表情でこちらを見ていた。普通の体勢でいるつもりなのに、わざとらしいくらいに前屈みになって、お尻を突き出している。
その姿は誰が見てもおしっこ我慢のポーズ。途端に恥ずかしくなって背中を伸ばした。
はやく、トイレ、おねがいはやくっ。もう少しなのに、その少しが遠い。僅か数歩先に待ち望んだトイレがあるのに、辿り着くことはまだできない。
お腹の奥がぞくぞく疼く。重くて、苦しい。はやく出したい、出したくてたまらない。両足の付け根のあたりがじんじんと疼いている。
じっとしていないといけない。わかってはいるけれど体が勝手に動いてしまって、自然と足踏みを繰り返す。お腹が苦しい。折角伸ばした背中は楽な体勢を求めて丸くなっていく。
手が震える。行き場を求めて宙を漂う指先はスカートをぎゅうと握った。そのまま、ぺたぺたと足踏みを繰り返す。
はやく、はやくはやくはやくっ。足踏みしながら並ぶなんて、我慢が出来ない幼い子供と同じじゃないか。そんな恥ずかしい真似、絶対に嫌だ。そう思うのにじっとしていると辛くて、また足踏みをしてしまう。
前の背中が再びこちらを見る。その視線には気付いたけれど、今の私には俯いて逃れるのが精いっぱいだった。
はやく、はやくはやくはやく、トイレ、おねがいはやく……! 他のことは考えられない。二つの背中の向こうの扉から目が離せない。
緑色の扉は薄くて、見るからに軽そうだ。鍵さえ外せば力なんてほとんど入れずに開けられる。それなのに、その扉は今ぴたりと閉じて私を拒んでいる。
喉の奥が詰まったように苦しい。上手く息ができない。静かな中で、自分が荒く短く呼吸を繰り返すのが耳につく。
前に人がいる。きっと聞こえている。そう思うと恥ずかしくてたまらない。落ち着こうとするけれど、トイレに行きたくて行きたくてたまらなくて、全然落ち着けない。
再び水音。そして、軽い音と共に扉が開く。私の視線の先で、また扉が閉まる。背中が一つ減った。
ぴたりと閉まる扉と私の間には背中が一つだけ。
ほら、あと一人だけ。もう少し。もうちょっとだけ。僅かに湧いた余裕でそうやって自分を励ますけれど、それも一瞬だけ。
すぐに激しい波が全身を満たして、頭のてっぺんから足の先まで走り抜ける。お腹の奥、大きく膨らんだ水風船が揺れて震える。じんじんと鈍くて嫌な衝動が腰のあたりに纏わりつく。
あ、あ、あ、だめ、トイレ、トイレ、トイレ、おしっこっ……! 水風船ははち切れそうにぱんぱんで、ずっしりと重い。前屈みの体勢で、自然と手をお腹に添えてしまう。
熱いおしっこが溢れんばかりに詰め込まれている。水風船はもう限界だと、細い出口をこじ開けようとしている。
まだだめ、もうちょっとだからと必死に堪えるけれど、もう本当に限界だ。
お願いはやく、トイレ、おしっこ、もうだめ、ほんとにだめ、もう我慢できないからはやくっ……! あと少し、もうちょっとを何度も何度も繰り返して、今、本当にあと少しのところまで来た。
ほんの少し、あと一人だけ我慢すれば間に合う。頭ではわかるのに、それ以上に体が限界を強く訴えていて、自分の内側がぐちゃぐちゃになる。
ぞくぞく、悪寒が走る。破裂寸前の水風船が何とか逃げ道を探して、出口をこじ開けようとする。内側から鈍く差すような衝動に、全身が震える。目の前がちかちかして、白んでいく。
あ、あ、あ、だめ、だめっ、おしっこ、おしっこでちゃう、だめ、だめっ……! スカートをぎゅううっと強く握りしめる。全身に力が入って、硬く強張る。
世界が遠くなる感触。耳鳴りがして、自分の短い呼吸の音だけが響いている。
あ、あっ、あっ、ああっ……! じわりと熱い雫が零れる。その瞬間、下着に生暖かいものが広がった。
考えるより先に手が動いて、スカートの上から出口をぎゅうっと押さえていた。
ああ、だめ、で、ちゃうっ、おねがい、だめ、はやく、はやくっ……! 出口がひくひくと疼いている。我慢しているのに、まだ駄目なのに、おしっこが出したくて出したくてたまらない。
じん、と目元が熱くなる。は、は、と短い呼吸の音が聞こえる。
手で押さえて必死に我慢すると、ほんの少しだけ波が落ち着く。頭も少しだけ冷静になって、自分が今どんな格好をしているのかに気付く。顔を上げるとそこには人の背中があって、慌てて手を放した。
冷静になれたのもたったひと時。僅かに落ち着こうとも、トイレにたどり着くまでこの衝動から解放されることはない。
僅かな冷静はすぐに消えた。じんじんと響くような波が体の内側に響く。一旦引いた波は何倍にも強くなって荒れ狂う。
あ、あ、だめ、おしっこおしっこおしっこっ、もうだめっ、おしっこ、おしっこでちゃう、もれちゃうっ……! おねがいはやく、はやくっ……!
足は根が生えたように地面に張り付いていて動かない。スカートの内側で太ももを強く寄せて、その奥の出口を必死に塞ぐ。
ただ寄せるだけじゃ駄目で、交差させて奥をしっかりと塞いで、でもそれでも衝動は落ち着かなくて、もじもじと足を擦り合わせて紛らわせる。
だめ、おしっこしたい、だしたいっ、おねがいはやく、といれ、ほんとにだめ、おしっこでちゃうっ……! もう自分でもよくわからなくて、胸がいっぱいで、泣き出しそうになる。
ただただ太ももを擦り合わせて、出口をぎゅううっと塞いで、今にも出てしまいそうなおしっこを必死に我慢する。
吐く息と同時に、ああ、と声が漏れる。それに重なるように水音が聞こえた。
背筋が自然と伸びる。視線の先で扉がゆっくりと開く。出てきた人の向こう側に、待ち望んだものがちらりと見えた。
と、い、れっ、といれといれといれ、おしっこっ……! 飛びつきたくなる思いとは裏腹に、体はがちがちに強張っていてうまく動かない。
張り付いた足を剥がすように持ち上げて、前へ動かす。もう一歩踏み出そうとしたところで、空いた扉に背中が入っていくのが見えた。
当たり前の話だ。前にいる人が先に入るのが普通の流れ。でも、今の私には非情すぎた。
待って、おねがい待って、先に行かせてっ! もう我慢できないっ、おしっこ、おしっこでちゃう、もれちゃうから、おねがいっ、おしっこ、おしっこさせてっ……!
気持ちが荒れ狂う。けれど、一気に押し寄せた言葉は喉の奥で詰まってしまって、上手く声が出ない。
乾いた口を開いたところで、残酷にも扉はぱたんと閉まった。
あ、あ、あ。やだ、だめ、もうだめ、おしっこ、おしっこっ……! 絶望にも似た感覚の中、無慈悲にも衝動は激しくなる。
じんじんと出口が疼いて、痺れる。全身に大きな波が走り抜ける。水風船がもう限界だと暴れて、中身を出口へ押し出そうとする。
頭が真っ白だ。じわりと目元が熱くなる。やだ、トイレ、おしっこっ。他のことは考えられない。おねがい、といれ、おしっこ、もうほんとにだめなの、でちゃう、もれちゃう、おしっこ、おしっこっ……!
じゅ、と熱いおしっこが溢れ出す。咄嗟にスカートの上から強く押さえる。ぎゅうぎゅう押さえて、必死におしっこを我慢する。
だめ、だめだめだめ、もうちょっと、あとすこしだからっ……! 何度も繰り返した『もうちょっと、あと少し』は何にも引っかからずに上滑りしていく。押さえる指の先で、出口がひくひくと疼いて、今にも口を開いてしまいそうになる。
顔を上げると、個室への扉はぴたりと閉じて私を拒んでいる。その上、追い打ちをかけるように中からじゃーっと水音が響いた。
あ、あ、あっ、や、あ、あぁっ……! 水音が呼び水となったように、おしっこが暴れまわる。ぞくぞくと刺すような衝動が暴れて、出口が内側から強く押される。
で、るっ、でるでるでるっ、おしっこ、だめ、でちゃうっ、もれちゃうっ、だめ、だめだめだめ、だめぇっ……! だめなのに、まだだめだとわかっているのに、もう体は全然言うことを聞かない。
ぶじゅ、と湿った音が聞こえる。おしっこが溢れて、指先が熱く濡れる。だめだめだめだめ、だめなのに、だめ、まだだめっ……!
ぎゅううっと痛いほど、出口をぎゅうぎゅう塞ぐのに、おしっこがしたいのが全然落ち着かない。ひくひく出口が疼いて、また、ぶじゅう、とおしっこが噴き出す。
あ、あ、あっ、おしっこ、おしっこっ……! だめ、だめだめだめ、だめっ、だめっ……! もう手は離せない。スカートをぐしゃぐしゃにして、出口を強く押さえて、それでも全然治まらないから、両足がばたばたと暴れる。
足踏みを繰り返して、それでも辛いからくねくねと体を捩る。手洗い場の鏡に自分が今どんな姿で映っているのか、考えたくもない。
どんなに恥ずかしい格好だったとしても、今の私はこうする以外何もできない。
もうだめ、ほんとにだめっ、おねがいはやく、おしっこ、おしっこ、おしっこっ……! じわりと目が熱く濡れる。ばたばたと床を踏む音。は、は、と浅い呼吸と、時折混じるふやけた声。
ぶじゅ、じゅ、じゅう、とおしっこが溢れて、止まって、また溢れて。押さえる指先が温かく濡れる。太ももに熱いおしっこが伝う。靴下がじっとりと濡れる。
でちゃ、う、だめ、だめ、で、る、でる、おしっこ、で、る、でるでるでるっ、おしっこ、でちゃ、うぅっ……!
体が震える。限界で、限界で、本当に限界で、もう立っていられない。足ががくがくと震える。くねくねと体を捩りながら、その場にしゃがみ込んでしまいそうになる。
手で押さえて、両足は交差させて、上下に体を揺すって。必死で繋ぎ止めている我慢の糸はか細くて、もう今にも切れてしまう。まさにその瞬間だった。
じゃーっと水音。反射的にに顔を上げる。少しの間の後、ゆっくりと扉が開いていく。
と、いれっ……! トイレトイレトイレ、おしっこっ、おしっこっ、おしっこっ……! もう何も考えられなかった。手で出口を強く押さえたまま、まだ開ききっていない扉に向かって足を動かす。
中から出てきた人はぎょっとした表情を浮かべたけれど、気にする余裕なんて欠片もなかった。
押しのけるように中に飛び込む。片手は出口から離せない。ぐいぐいと押さえたまま、反対の手で後ろ手に鍵を掛けようとするけれど、うまく掛からない。
あ、あ、なんでっ、あ、やぁ、あ、だめ、お、しっこっ、おしっこっ、あ、あっ……!
目の前には白い和式便器がある。もうちょっとだけ我慢すれば、あと少しだけ足を踏み出せば。
何度も繰り返した『もうちょっと』『あと少し』は今、何の意味も持たなかった。
あ、あ、ああ、あっ、だめ、おしっこ、お、しっこ、あああ、あ、あぁっ……!
ぶじゅうう、とおしっこが噴き出す。手で押さえて堰き止める。一瞬止まるけれど、またすぐに噴き出して、なりふり構わずに押さえて、足踏みをして、我慢して。
でも、もう止まらなかった。
じゅうううう、と太い水音が体の中に響き渡る。あぁ、と声が漏れる。
一拍置いて、びちゃびちゃびちゃ! と個室内に激しい水音が響き渡った。
手が、下着が、両足が、靴下が、靴が温かく濡れていく。おしっこがどんどん噴き出して止まらない。止められない。出口を押さえたままの手が熱く濡れていって、感覚が鈍くなっていく。
体はどこも動かない。せめて和式トイレに跨がろうにも、足はがくがくと震えてその場に張り付いている。
後ろ手に扉を押さえたまま、反対の手で出口を押さえたまま、薄い扉を背にして、限界を何度も超えていたおしっこが堰を切ったように勢いよく溢れ出した。
お腹の奥の水風船は中身を押し出し、出口は大きく開いて、中のおしっこをどんどん排出していく。どれだけ入っていたのか自分でも驚くほど、おしっこは全然止まらない。
呼吸を繰り返して、ただ立ち尽くすことしかできなかった。足元に落ちたおしっこは水溜りを作り、ぴちゃぴちゃと和式トイレの中へ流れていく。
おしっこ、間に合わなかった。あと、ちょっと、だったのに。……で、ちゃった。
頭が真っ白で、向かい側の白い壁をぼんやり見ていた。ただ、我慢に我慢を重ねたおしっこは気持ちよくて、温かかった。
+++
私は扉を背にしたまま、立ち尽くしていた。
足元のタイルはびしょびしょに濡れ、まるでバケツをひっくり返したかのようだ。
両足の間に巻き込んだスカートが重く濡れている。下着はぴたりと肌に張り付き、不快感を与えてくる。ぐっしょりと濡れた手はどこか感覚が鈍いような気がした。
やっちゃった。間に合わなかった。どう、しよう。どうしよう。爽快感とは裏腹に、頭の中はぐちゃぐちゃだった。
とにかく、何とかしないと。鍵を掛けたのを確認してから、水溜りの中で床に張り付いていた足を何とか持ち上げる。濡れた手をスカートの中に入れて、びっしょりと濡れた下着を下ろした。
足から抜いた下着を和式トイレの上でぎゅうと握る。重く濡れた布地から雫が落ちて、ぴちゃぴちゃと音を立てた。
どう、しよう。これをもう一度履くわけにもいかない。和式トイレの前で、濡れた下着を手に固まっていると、ぞくぞくと嫌な感触が込み上げる。自然と、そのまま和式便器を跨いだ。
用を足す体勢になったからか、自然とおしっこが出た。あれだけ出したのに、細い水流がしょろしょろと細く噴き出してなかなか止まらない。我慢しすぎておかしくなっちゃったのだろうか。
何とかお腹に力を入れて、おしっこを出し切る。トイレットペーパーに手を伸ばしたところで、聞きなれたチャイムの音が鳴り響いた。
授業開始の合図。行かないといけないけれど、このままでは出られない。……どう、しよう。じわりと涙が滲んだ。
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初出: 2021年12月9日(pixiv・サイト同時掲載) 掲載:2021年12月9日