先生、おしっこっ! 中編

 4時間目終了のチャイム。運動場ではハードルの片付け。

 そろそろ来るんじゃないかと思ったその時、コンコンと窓がノックされた。予想通りだった。
 窓の外には赤いカチューシャ、黒いセミロング。先週、先々週と同じように彼女が立っていた。突き出したお尻をもじもじと動かし、右足を左足にすり付けている姿は、間違いなくおしっこ我慢のポーズだ。
「せ、せんせっ……、ぉ、お、おしっこ……っ」
 いちいち声をかけなくても良いとのに、彼女は律儀に私に声をかける。
「はいはい、そこでしなさい。見つからないようにね」
 3回目となると手慣れたものだ。取りやすいように窓辺に置いたティッシュを手に取り、彼女のおしっこを待つ。
 しかし、彼女はなかなかおしっこを始めない。ハーフパンツも下着も履いたまま、私の前でくねくねと体を動かすだけだ。
 したくない訳では無いと思う。むしろ今すぐにでもおしっこがしたいと彼女の全身が叫んでいる。両手は彼女の足の前で、何かに触れたそうにもじもじと動いている。
 それなのに始めないのは、何かがあったのか。
「せ、せんせっ」
「どうしたの?」
「せんせ、おしっこ計らないのっ?」
「……えっ?」
「計りたいっていうから、わたし、いっぱい我慢してきたよっ?」
 先週の事を思い出す。計ったら1リットルあるんじゃないかとは言ったが、計りたいなんて一言も言っていない。けれど彼女の中では、私がおしっこを計りたいと言ったことになっているらしい。
「朝からお茶一杯飲んで、授業の間にもジュースとか飲んで、いっぱい我慢したよっ?」
 健気な努力は褒めていいのか駄目なのか。彼女は真面目で不器用な子だと思っていたが、もしかしたら単純にお馬鹿なのかもしれないと思った。
 まあ、計ってみたくないわけじゃない。あれだけのおしっこ、実際どれくらいの量があるのかを数値化してみたいとは正直思う。が、仮にも教育者の私が、生徒である女の子のおしっこを計るのはどうなのか。

 二つの欲求を天秤に掛けていると、彼女は目の前で身動ぎした。そして、我慢できないとばかりに両手でズボンの中心をぎゅうと掴んだ。
 ……まあ良いか。彼女が乗り気なのだから。
「わかった。計るから、保健室入っておいで」
 何を使って計ろうかなと考えていると、彼女が窓枠を掴んだ。そ、そこから入るの? 私が呆気に取られている間に、彼女は律儀に靴を脱いで、白い靴下に包まれた足を窓枠に掛けた。そして一瞬固まったのち、すぐに足を下ろして体を丸める。我慢しているときに足を大きく開けば、そりゃそうなるだろうなと冷静に思った。
「大丈夫?」
 言葉もなく、こくこくと頷く。そしてもう一度足を窓枠に掛けると、滑り込むように保健室の中に入ってきた。床に降り立った瞬間、あっあっと呟きながら、両手で股間をぎゅうと押さえて、その場に蹲った。
「せんせっ、はやく、はやくっ」
「はいはい」
 早くと言われても、おしっこを計る予定はなかったので、容器なんて全く用意していない。とりあえず何かないかなと、隣の備品置き場を開けた。
 備品置き場は酷く狭い。壁に棚が二つ、そして扉から一番遠い一角には机が置かれている。棚には使っているのかわからない荷物が雑多に置かれており、いつか整理しないとと思いつつ、未だに手を付けていない状態だった。

 棚の中に使えそうなものがないかと視線をやる。貴瀬は一緒に備品置き場に来ていた。辛いならじっとしていればいいものを、両手を太ももの間に挟み、お尻をつき出した格好でひょこひょこと後ろにいる。時折声にならない悲鳴が聞こえる。もう本当に余裕がないようだ。
 棚の一角に曇ったビーカーが二つ並んでいるのが見え、手を伸ばす。薄汚れたビーカーは少なくとも私が就任してからは使ったことがない代物だった。取り出すと800ミリリットルは入るようだ。彼女のおしっこにはちょうどいいのではないだろうか。
「貴瀬、これにしようか」
「何でも良いですっ、せんせ、早くっ」
 くねくねと体をくねらせ、舌足らずに彼女は言う。太ももにがっちり挟まれた両手は出口にぴたりと押し付けられている。
 ビーカーを渡そうとして、またしても彼女に意地悪をしたくなってしまう。貴瀬は太ももに挟んでいた右手を私に伸ばした体勢でいた。左手は変わらず太ももの間、足の付け根にぎゅうぎゅうと押し付けられている。

 棚の向かいに置かれている机にビーカーを置いた。貴瀬は手を伸ばしたまま、ぽかんと私を見上げている。
「机の上でしてごらん」
「え、えっ!?」
「その方が良く見えるでしょ」
「見なくて良ぃ……ぁあっ、も、我慢できないっ……」
 伸ばしていた手を戻し、再びぎゅうぎゅうと両手でおしっこの出口を揉みながら、彼女は言う。
「ほら、机に上がって。窓が潜れたんだから大丈夫でしょ」
「ううっ……、せんせ、いじわるぅっ……」
 机は彼女のお臍くらいの高さだ。彼女はそろそろと机に近づくと、右足を机に乗せた。足を開いたことと、膝で膀胱が圧迫されるのが辛いのだろう、彼女はあっあっと短い悲鳴を繰り返す。そして、床に残っていた左足も机の上にあげる。それから体勢を整えて、彼女は机の上でしゃがんでいる状態になった。
「せんせっ、これでいいっ?」
「よくできました」
 しゃがんだまま股間を抑え、上下に体を揺らす。彼女が揺れるのに合わせて、古い机はぎっぎっと鳴った。
 股間を抑えていた手を片方離し、その手でビーカーを握る。彼女の手の平より大きいビーカーは思っているよりも重量がある。ずりずりと引き寄せたビーカーを足の間、おしっこの出口にセットすると、彼女は再び私を見た。
「も、だめっ、おしっこしてもいいっ?」
 ううう、と焦れた声を出しながら、彼女は片手でえんじ色のハーフパンツと薄緑色の下着をずり下げた。ぷりっと張ったお尻が現れ、もうすぐ彼女の準備が整う。

 その時だった。
「失礼しまーす。せんせーっ、いますか?」
 突然聞こえた声にぴたりと固まる。それは貴瀬も同じだったらしい。お尻だけを出し、体の前はズボンと下着が下ろしきれていない状態で、彼女は縋る様に私を見ていた。
「はいはーいっ」
 仕方ない。後ろ髪を引かれたが、生徒を放置するわけにもいかない。声を張って返事をした後、貴瀬に背を向けて、何事もなかったかのように私は備品置き場から出た。
「あ、せんせー。絆創膏ちょうだい」
「指切ったの?」
 女子生徒は備品置き場から出てきた私に疑問を抱くこともなく、あっけらかんと笑いながら要件を口にした。会話をしながら、自然に備品置き場の扉を締めた。今の状態の貴瀬を人に見せるわけには行かないと思った。
「ううん。午後から家庭科だから、先に貰っておこうと思って」
「用意周到と言うか何と言うか……。10枚あれば足りる?」
「うぅ、流石にそんなに切らないよ。2、3枚ください」
 絆創膏を取り出しながら、備品置き場に閉じ込めた貴瀬のことを考える。
 貴瀬にこれ以上の我慢は無理だろう。きっと今頃は気持ちよさそうにおしっこをビーカーに注ぎ込んでいるに違いない。……正直、ちょっと見てみたかった。
「はいはい、どうぞ」
「ありがとー。足りなくなったら来るね」
 手を振りながら、生徒は保健室から出て行った。無人になった保健室ではあとため息を漏らす。
 危ないところだった。あの光景を他の生徒に見られては、私の人生は終わっていた。女子生徒におしっこを我慢させ、机の上でビーカーにおしっこをさせようとしていた女教師。新聞の一面を飾るには十分すぎる変態さだ。
 備品置き場の扉を開けながら、ビーカーにどれだけのおしっこが溜まっているかを想像する。予想はビーカーの半分を超えたあたりだ。800ミリリットルの半分で400ミリリットル。ペットボトル飲料の八分目。自分のおしっこの量なんて計ったことがないが、400ミリリットルでも十分な量に思える。

 さて、答え合わせだと備品置き場に入る。机の上を見ると、なんとビーカーの中は空だった。
「た、貴瀬?」
「せんせっ、ぉ、おしっこ、もぅ、でちゃうっ……!」
 ゆさゆさと体を上下にゆすりながら、彼女は泣き出しそうな震えた声で言った。
 中途半端だったハーフパンツと下着はどちらも膝まで下ろされている。おしっこをする準備は万端の様だ。
「まだ我慢してたの?」
「だって、せんせ、良いって言ってないからっ」
「ごめんごめん、おしっこしていいよ」
 私の許可より彼女の限界の方が早かった。
 私の言葉をかき消すように、ぶしゅーっと激しい音を立てておしっこが飛び出した。おしっこは太い水流となって、突き破るんじゃないかという程の勢いでビーカーの底にぶつかった。ビーカーの硬いガラスは突き破られることはなく、彼女のおしっこをしっかりと受け止めていく。
「はあぁっ、」
 彼女が安堵と快感の吐息を漏らしたときには、おしっこは既にビーカーの3分の1に達していた。あっという間とはこのことだろう。彼女のおしっこは勢いを保ったまま、ビーカーに注がれ続けている。
 しゅーっと水流の走る音、じょぼじょぼと注ぎ込まれる音、彼女の荒い吐息。普段は何の音もしない備品置き場に非日常的な音が鳴り響く。
「はあっ、あ、止まんなぃ……」
「凄い。たくさん出るね」
「いっぱいお茶飲んだの。ジュースも飲んだよ。我慢するの、すごく辛かったぁ……」
 ビーカーは見る見るうちに彼女のおしっこの色に染まっていく。気付いたときには半分はとっくに超え、そうこうしているうちに全体の8割に彼女のおしっこが注がれていた。
 ビーカーが受け止められるのはあと僅か。彼女のおしっこは初め程の勢いはないが、それでも気持ちよさそうにじょろじょろと流れ続けている。流石に溢れるほどはしないだろう。このビーカーいっぱいで800ミリリットル。1リットル弱と言っても間違いではない量だ。そんな量がこの女の子のお腹に溜め込まれているなんて、とても信じられない。

 ビーカーの中の水面は上昇を続ける。とうとう全体の9割に達した。まさか、と息を飲んだ私の想像を裏付ける言葉を彼女は口にした。
「どうしよっ、まだ、おしっこっ……」
「ま、まだ出るのっ?」
 貴瀬は涙目でこくりと頷く。一体、この細いお腹にどれだけのおしっこが溜め込まれているんだ。
 水流がじょろ、じょろと途切れ気味になる。必死に止めようとしているらしいが、壊れた蛇口のようにおしっこはじょわ、じょわと溢れている。このままだとビーカーからも溢れてしまう。
「わかった。わかったから、ちょっと待ってっ」
「やっ、もう、待てないよぉっ……!」
「ちょっとだから、もうちょっとっ」
 急かされながらもビーカーがもう一つあったことを思い出し、慌てて手に取る。おしっこが並々注がれたビーカーの横に今取り出した空のビーカーを置くと、貴瀬は身を捩りながら場所を移動する。
「あっ、あっ、ああっ」
 じゅわーっとおしっこが再び飛び出す。フライング気味だったが、何とかその着地点はビーカーの中だった。幾分勢いの落ち着いたおしっこはひたひたとビーカーの底を濡らしていく。
 ビーカーにはこれでもかという程おしっこが注がれている。ひたひたに入れられたおしっこは上手に持ち上げないと、少しの衝撃で零れるだろう。そっとビーカーに触れるとほんのり温かい。中の液体が彼女のお腹の中で今の今まで温められていたという証拠だ。1リットル近くのおしっこを溜め込めるなんて、彼女の膀胱はどうなっているのだろう。
 いっぱいになったビーカーを眺めていると、じょぼじょぼという音がぴちゃぴちゃと音を変えた。空であったビーカーに目をやると、いつの間にか半分近くまでおしっこが注ぎ込まれていた。流石に彼女の膀胱も空になったのだろう。太かった水流は姿を消し、代わりに雫が2、3滴落ちて、彼女のおしっこは終わった。
「全部出た?」
 呼吸を整えながら、貴瀬は頷いた。
 彼女は最終的にビーカー1個と半分をおしっこでいっぱいにしていた。換算すると1.2リットル。とんでもない量のおしっこを彼女は我慢していたようだ。そりゃあ、あれだけ豪快におしっこをするわけだ。見事なおしっこに、見ている方も気持ちよくなる。

 いつも通りティッシュで股間を拭い、彼女は下着とハーフパンツを履いた。そして、私の隣でビーカーいっぱいに注ぎ込まれたおしっこを眺めている。
「随分たくさんでたね。これだけ出たら気持ち良いでしょ」
 貴瀬は頬を赤くして小さな声で返事をした。恥ずかしそうにしているものの、その顔は達成感に満ち溢れている。
「もうちょっと頑張ったら、2つともいっぱいにできるかな」
「止めときなさい。病気になるよ」
 この子はどこを目指しているんだ。
「すっきりしたところで片付けないとね。貴瀬、軽い方持って」
「はぁい」
 ひたひたにおしっこが注がれたビーカーを恐る恐る持ち上げる。ずっしりとした重さに改めて貴瀬の凄さを感じてしまう。これだけのおしっこを我慢してよく体育の授業を受けていたものだ。ハードルを片付けていたのだから、きっと陸上競技だろう。おしっこを我慢しながらハードルが飛べるのだろうか。
 ビーカーを抱えて、保健室に戻る。トイレまで運ぼうかと思ったが、誰かに見つかる可能性を考えて止めた。代わりに保健室の中にある水道へビーカーを運ぶ。怪我人が傷口を洗ったり、氷水を作ったりするときに使う水道だが、今日だけは勘弁してほしい。後で掃除するから。
 ビーカーを傾けると、ざばーっと勢いよくおしっこは排水溝に流れていった。私の隣で、貴瀬も自分のおしっこを流す。
 流石にこのビーカーをそのまま片付けるわけにはいかない。食器用の洗剤しかないが、洗わないよりマシだろう。水道の蛇口を捻って、スポンジを濡らす。蛇口からしゅるしゅると流れる水流が、貴瀬のおしっこを見た後だと酷く貧相に見えた。

「せ、せんせ、」
 貴瀬が私の袖を引いた。困った様な、何かを訴えるような声色。先ほどの見事なおしっこが頭を過ぎった。
「せんせ、ぉ、おしっこっ」
「えええっ? さっき、あれだけ出したのにっ?」
「だって、水の音聞いてたら、すごくしたくなってっ」
 早くトイレに行っておいで。私の言葉は鋭い水音でかき消された。
 空にしたビーカーを跨ぐようにしゃがみ込んだかと思うと、先程履いたばかりのハーフパンツと下着を一気に下ろす。その瞬間、ぶしゅーっと驚くべき勢いのおしっこがあふれ出した。
「あぁっ、ごめんなさいっ」
 せっかく空っぽになったビーカーが、再び薄黄色いおしっこに満たされていく。勢いのあるおしっこは水面を叩いて雫を撒き散らす。蛇口から流れる水流なんて比にならない程の勢いに、驚きを通り越して感心してしまう。
「ほんとによく出るねえ」
「普段はこんなにおしっこ出ないのにっ……」
「ほんとかなあ。普段からいっぱいしてるんじゃない?」
「してないぃっ……」
 彼女は必死に否定を口にするが、それを何より否定しているのは彼女が出し続けているおしっこだ。じょぼじょぼとビーカーを満たしていくおしっこを見て、誰が彼女の言葉を信じられるのだろう。
 彼女の前にしゃがみ込み、特等席で彼女のおしっこを眺める。彼女のおしっこはビーカーの半分を超えても止まらない。どこまで出るのかなあと考えながら、じょぼじょぼと注ぎ込まれるおしっこを眺めていた。

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初出: 2016年4月5日(pixiv)  掲載:2019年2月22日

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成人済の時々物書きです。 スカ、女攻め萌え。BLよりはNLやGLが好きです。

2件のコメント

  1. おしっこ大好きです。面白かったです。

    1. お読みいただきありがとうございます。
      お楽しみいただけてとても嬉しいです。

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