※大スカ要素があります
なんとか無事に宿を押さえることが出来た。昨日は野宿だったので、今日は流石に柔らかなベッドでゆっくり休みたいと心底思っていた。今日も今日とて安いお部屋にはなるけれど、野宿に比べたら雲泥の差だ。
部屋は正直狭かった。ベッドが一つ、その横にテーブルと椅子が一組、この狭いスペースに無理やり押し込まれたような状態だ。でも、ベッドは手入れが行き届いていて、部屋もとても綺麗に掃除されている。
安宿だと、今にも崩れそうなベッドだったり、壁がぼろぼろで倒れる寸前だったりすることも珍しくない。それを思うと今日の宿は充分当たりの部類だった。
客室は二階で、お風呂とトイレは一階に共用の物がある。お高めの部屋だと部屋にトイレもお風呂もあるみたいだけれど、流石に今はそこまで贅沢は出来ない。
部屋の隅に荷物と腰の剣を下ろして一息つく。スライムさんは胸元から飛び出し、テーブルの上に乗った。
ぐったりと体が重い。足が鉛のように重いのを解すために、伸ばしたり曲げたりを繰り返す。
昨日は野宿だったし、今日は朝からほぼほぼ歩き通しだった。机の上ではスライムさんがべったりと伸びている。
途中モンスターと戦ったのもあって、スライムさんも疲れているみたいだ。数が少なかったので何とかなったけれど、スライムさんの体当たりにはとても助けられた。見かけによらず、あの突撃はなかなかの威力があるようだ。
本当に疲れた。そのまま眠ってしまいたいのをぐっと堪えて、買い物だけでも済ませようと必死に頭を動かす。
携帯食料は全部は食べてしまったし、お水も全部無くなった。あとポーションもスライムさんにあげたので空っぽだ。そのあたりはすぐにでも買わないといけない。
それから、必要なものがもうひとつ。
両足を下ろしてから、手でそっとお腹を撫でる。
町に到着した時にトイレは済ませた。それでも解消されない膨らみを少しだけ手で押してみると、途端にずきりと痛みが走って、思わず顔を顰めた。
最後に出したのはいつだっただろう。おしっこはともかく、大きい方は時間も掛かる。野外で無防備な時間はどうしても危険が伴うので、緊急事態でもない限り我慢することが多かった。
そうすると体の調子が崩れてしまうみたいで、いざ町に着いても出てくれないことが時折ある。出来るだけ早く解消しようと頑張ってみるけれど、どうしようも無い時はそのまま次の町へと出発せざるを得なかった。
前の町には数日滞在したけれど、一度もお通じが無かった。ぎりぎりまで頑張ったけれど結局駄目で、しかも昨日は野宿。
道中で一度は催したけれど、次の町まではすぐだからと我慢することを選んだ。固い地面で横になり、ぱちぱち燃える火の音を聞きながら、ずっしりと重いお腹を擦る夜を過ごしたのだった。
町に着いたら出してすっきりしたい。そう思っていたのに、トイレに行っても大きく張ったお腹は全く動いてくれなかった。
便秘自体は時々ある。でも大体は二日か三日もすればちゃんと出ていた。それなのに今回は三日を超えて五日は経つのに、全然駄目だった。ただただお腹が張って、苦しさと気持ち悪さが体の中でぐるぐる回っていた。
何度目かわからない溜め息が漏れる。寝返りを打つと同時に、ベッドの端がやや沈むのを感じた。それからベッド全体がぎしぎしと揺れて、見るとスライムさんが跳ねて近付いてきていた。
私の顔の傍でぴょこぴょこ跳ねる様子は、どうしたのと心配しているように見える。仲間の心配が嬉しくて、つい頬が緩んだ。
「大丈夫ですよ。ちょっと疲れただけです。
前の町からそんなに距離が無いと聞いていたのに、思ったより遠かったですね」
その通りだねと言うかのように、緑色の手が丸を作る。同意を得られただけで、疲れが少し和らいだ気がした。仲間がいるのは良いなあと改めて思った。
スライムさんとのお喋りで、少しだけ気力が戻った。今のうちに買い物だけは済ませておこう。夕食もどこかで調達してこないといけない。よし、と気合を入れて起き上がり、ぐーっと体を伸ばした。
「買い物してきますね。スライムさんはお留守番してますか?」
スライムさんはついてくることもあれば、部屋で待ってる時もある。今回は後者の様で、丸印を再び作ると、ぴょんぴょん跳ねてテーブルの上に戻った。
前の宿でもそうだったけれど、スライムさんはベッドみたいな柔らかい場所より、固いテーブルの上の方が落ち着くらしい。
行ってきますと言うと、伸びた手をひらひらと振ってお見送りをしてくれる。こういうのも良いなと思いながら、鞄を持って外へ出た。
剣を持っていくべきか少しだけ悩んだけれど、町中だし大丈夫だろうと置いていくことにした。正直、今は剣を振るう気力も体力もなかった。
ボトルのお水、日持ちする乾燥食糧、あとは体力回復のポーション。旅の必需品だと聞いたのでポーションは一応持ち歩いているけれど、実は使ったことはほとんど無かった。
けれど今となっては、まごうことなき必需品だ。スライムさんは戦いの後に嬉しそうに飲んでいる。
安いのと高いのがあって、少し迷って高い方にした。スライムさん曰く、高い方が美味しいらしい。一度飲み比べたことがあるけれど、私としてはどっちも薬っぽい味しか感じなくて、違いなんて全く感じなかった。
でもスライムさんが好きなら仕方ない。これからも助けてもらうことは多々あるだろう。仲間の希望は出来る限り叶えておくべきだ。
必要な物は確保して、他に良い物はないかと商品を見回しながら、目当ての物をさりげなく探してみる。その行動だけでも恥ずかしくなるけれど、はやくこの状態から解放されたくて、恥を忍んで商品に目を通す。
けれど、一通り見ても目当ての物は無かった。仕方なく、恥ずかしいのを堪えて店員に声を掛ける。
「あの、薬はありませんか? お腹の薬なんですが」
「どういう症状ですか? 下痢? 便秘? それとも腹痛だけ?」
「…………便秘です」
真っ赤になっている私を気にした様子もなく、店員は棚をごそごそと漁り始めた。そっちが慣れていても、私はこんなことを他人に申告することに慣れていない。
他のお客がいなくて良かったと心底思った。全身が燃え上がるように熱かった。
「二種類ありますが、どちらにしますか? こっちが飲み薬、こっちは座薬……お尻から入れるタイプ」
申告するだけでも精一杯だったのに、更にすごいワードが飛び出して、もう私はいっぱいいっぱいだ。単に薬を買うだけなのに、とんでもない辱めを受けている気分だった。
「お、お尻っ!? い、いいですっ、飲み薬をくださいっ」
「重い便秘だと飲み薬じゃ効かないから、座薬の方がおすすめですよ」
「良いです、飲み薬で大丈夫ですからっ……!」
もう、恥ずかしくて体が焼け焦げそうだ。とにかく飲み薬をいただいて、お金を払って、買ったものを抱えたままお店を飛び出した。
少し走ると息が切れて、立ち止まらざるを得なくなった。息を整えながら、買ったものを全部鞄にしまう。
緊張から解き放たれて、余韻で心臓がばくばく鳴っていた。恥ずかしかったけれど、何とか手に入れた。これで大丈夫。やっと楽になれると思うと、恥ずかしいのを我慢したかいもあったというものだ。
途中の店で夕食を買ってから部屋に戻ることにした。色々なものがあって悩んだけれど、結局いつものごとくサラダとパン。あと変わった果物の煮物があったのでそれも買った。スライムさんにはジュースを二種類。自分用のジュースも忘れない。
こうもお腹が張っていると、正直食欲もあまり無い。でも食べないと体が持たないとわかっているので、無理にでも食べるようにしていた。
食事が楽しくないのはなかなか辛い。でも今日でそんなことからも解放されると思うと、少し気分が楽になった。
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夕食を終えて、さっき買った薬を手に取る。そういえば、飲むタイミングや量、飲んでどれくらいで効いてくるかを確認し忘れたことを思い出す。
でもあの店に聞きに行く勇気は無かった。あのお店には何の罪もないけれど、出来ることなら二度と行きたくなかった。
まあ、飲めばいつかは効いてくるだろう。中身を一気に飲み干して、空になった瓶を机に置くと、スライムさんは何だ何だと近付いてくる。流石にこれをあまり見られるのは恥ずかしくて、夕食の皿と一緒に手早く片付けた。
食事の前にお風呂にも入ったので、後は寝るだけだ。食べてすぐ横になるのもどうかと思ったけれど、お腹が重くて苦しくて、のろのろとベッドに寝転ぶ。スライムさんは残った私のジュースのボトルをひっくり返した後、机の上でうごうごと動いていた。
無理に食べたからか、苦しかったお腹は更に張っていた。手で触れると、ひんやりと冷たくて、ぱんぱんに膨らんでいる。早く薬が効かないかなとお腹を撫でながら、ふう、と溜め息が漏れた。
やることもなく、何もやる気も起きず、ベッドで横になったまま夜の静けさを過ごす。時折、寝返りを打って体勢を替えて、服の上からお腹を撫でる。
まだかなと薬が効くのを待っている自分がなんだか恥ずかしいけれど、今はそこに縋るしか出来ない。
お腹を撫でていると、ぞわぞわと嫌な感覚が込み上げるのを感じた。おへその下あたりがもぞもぞする感じ。
トイレに行きたい。食べるのが辛い分、水分をたくさん取っているからか、おしっこがしたくなっていた。かと思うと、お腹全体もだんだんと痛み出す。軋むようなずきずきした痛みに、ああ、やっと薬が効いてきたと、安堵を覚えた。
起き上がると、お腹がずっしりと重さを増したように感じた。おへその下でちゃぽちゃぽと水分が揺れる感覚。お腹全体がきゅるきゅると軋む感じ。
トイレ、行こう。立ち上がって、スライムさんに一声掛けてから部屋を出た。
借りた客室は二階の一番奥の部屋だった。他の部屋の前を通り過ぎ、階段を下りて一階へ。すぐ横の扉を開くと、手洗い場とトイレがあった。
空いていて良かった。鍵を掛けて、下着を下ろしてトイレに座る。
ふう、と息を吐くと同時にちょろちょろとおしっこが出て、背筋にぞくぞくと気持ち良さが走った。たくさん飲んだからか、いっぱい出る。おへその下あたりが少しずつ軽くなっていく。
おしっこが全部出てから、今度はお腹に力を入れる。きゅるきゅると唸るお腹を撫でて、何とか排泄を促すけれど、お腹が痛むだけで全然その兆しはない。
なんで、どうして。薬も飲んで、お腹もこうして痛くなっているのに。
ぐう、と声が漏れる。なんとか出そうと頑張って力を入れると、ぶううっ、と大きな音と共におならが出た。
鼻につく濃い匂い。音もすごかったし、外に誰かいて聞こえていたらどうしよう。薬を買った時以上に恥ずかしくて、全身が熱くなった。
それから何度も力を入れてみたけれど、お腹は鈍く痛むだけで、全然出る気配がない。
宿のトイレはひとつしかないので、長時間占領するのは避けたい。もう少し頑張ってみたいけれど、お腹は痛むだけで全然動いてくれない。
仕方なく、紙でおしっこを拭いてから、下着を履きなおす。水を流して、手を洗って、体も心も重いまま扉を開けた。
外には誰もいなくてひとまず安心した。でも、体は全然軽くなっていなくて、ただずきずきと痛むだけ。
お腹を撫でながら階段を上がり、重い足取りで部屋に戻る。スライムさんはテーブルの上の定位置のままで、私も先程までのようにベッドに横になった。
お腹の痛みは鈍いけれど、それでもずっと居座っている。宥めるようにお腹を撫でるけれど、治まる頃も無ければお腹が動くこともない。
なんで、薬を飲んだのに。あれからそれなりに時間は経ってるのに全然効いてこない。ちゃんと瓶の中身は全部飲んだ。食後に飲んだのが駄目だったのかな。ちゃんと用法容量を聞いておくべきだったかもしれない。
何か言っていなかったかと、店員さんとの会話を思い出す。……そういえば、重い便秘だと飲み薬は効かないと言っていた。
もしかして、飲み薬じゃ効かないレベルなのかな。恥ずかしがらずに座薬の方を買うべきだったのかな。
恥ずかしくてたまらないのをぐっと堪えて頑張ったのに、これで解決したと思っていたのに、解決どころか鈍い痛みが増しただけで、むしろ悪化したようにも感じる。
お腹が重い。苦しい。お腹が張って気持ち悪い。もうやだ、何でも良いから楽になりたい。
窓の外は暗くなっていた。もうあのお店は締めてしまったかな。今からでも座薬の方を買いに行きたい。もう恥ずかしいのはどうでも良かった。とにかく、この苦しさから開放されたかった。
お店が開いていないか、見に行ってみようかな。お腹を撫でながら、荷物へ視線を向ける。でも起き上がるのも怠くて、このまま横になっていたかった。ただ、それだと何の解決にならないのもわかっている。
苦しい。辛い。気持ち悪い。だるい。全身を巡る不快感に目を閉じて息を吐く。寝返りを打つと、ベッドの足元が一瞬沈んだのを感じた。それから、ぴょこぴょこと一定間隔でベッドが揺れる。
知っている感触に、そっと目を開けると、目の前は緑一色。無意識にその塊に手を伸ばして、胸元にぎゅうと抱き寄せた。弾力のある塊が、私の腕の形に合わせてぐにゃりと沈んだ。
「スライムさん、心配してくれているんですか……?」
スライムさんは腕の中でもぞもぞ動くと、体の一部が伸びて、ぺたぺたと私の額に触れた。それで初めて、自分が汗をかいていることに気付いた。汗も水分だから、吸収してくれているのだと思う。
「お腹、苦しいんです。でも、薬ちゃんと飲んだんですよ。効くはずなのに、全然効かなくて、もうどうしたら良いのかわかんない……」
自分でも何を言っているのかわからない。でも、誰かに聞いてほしくて、スライムさんを胸に抱きしめながらぐちぐちと胸の内を吐き出す。
「お腹気持ち悪いです……。もうやだ、出したいのに、なんで出ないの……」
思いを吐き出したら、お腹もちょっとは楽にならないかな、なんて考えたけれど、そんな訳はない。スライムさんを抱きしめたまま寝返りを打つと、ただただ消えずに居座るずっしりとした重さを感じた。
何度目かわからない溜め息が漏れると、腕の中でスライムさんがうにょうにょ動いた。
「あ、ごめんなさい、苦しかったですね」
スライムさんにまで苦しい思いをさせて、私は何をしているんだろう。腕を緩めて、スライムさんを解放してから目を閉じる。
もう、このまま寝てしまおうかな。そして明日の朝一番にお店に行こう。店員さんには飲み薬が効かなかったとばれるけれど、この苦しみが続くなら恥ずかしい方がましだ。
緩めた腕の中から、スライムさんが抜け出すのがわかる。もう目を開けるのも辛くて、そのまま感触だけで動きを追いかける。
スライムさんは私の体の上をぶよぶよと移動していく。部屋着がわりのゆったりしたワンピースの上で、足の方へ向かっていく。かと思うと、ちょうど膝のあたりまで来たところで、ワンピースの中へもぐりこんでしまった。肌に直接触れるぐにゃぐにゃしたものに、思わず目を開けて上体を起こした。
「す、スライムさんっ?」
当たり前だけれど返事はない。スライムさんは私が動いたことを気にした様子もなく、そのまま服の内側にもぐっていくと、おへその上、大きく張ったお腹にべったりと張り付いた。
驚いていると、今度はうねるように動き出した。それはお腹全体を優しく撫でるようで、正直気持ち良い。はあ、と溜め息が漏れていた。
どうやら心配してくれているみたいだった。その行為にお礼を言おうとしたけれど、その言葉は痛みで飲み込んだ。
撫でる動きが、じわじわと押す動きに変わる。お腹の端から順番に押されていくと、時折鋭く痛いところに入って、うあ、と声が漏れた。
「ちょっと、ちょっと待って、なにしてるんですかぁ、スライムさんっ……」
只でさえ張り詰めたお腹を押されるのは痛いし苦しいのに、時折一か所をぐうっと更に強く押されて、その度に痛みで声が漏れる。
ただ、全体的にぐにぐにと押されて、ぐりぐりと円を描くように揉み解されて、固いお腹は少しだけ柔らかくなった気がした。
「あ、や、だめ、まって、ま、ってっ……!」
そうしていると、内側からお尻に圧力が掛かる。だめ、と思っても我慢できなくて、次の瞬間、ぶううっ、と恥ずかしい音が部屋の中に響いた。大きな音と鼻につく臭いに、全身に火が付いたように熱くなる。
うあ、おなら、出ちゃったっ……! 恥ずかしいと思ったのは一瞬で、すぐにお腹の痛みが押し寄せる。痛い、苦しいっ……! そう思いながらも、呼吸を繰り返して必死に耐える。
「ん、あぁぁ、そこ、や、だっ……、いっ、た、いぃぃ……!」
ぐにぐにとお腹を揉む力はさっきよりやや強くなっていた。痛みに身を捩りたくなるけれど、シーツをぎゅっと掴んで我慢する。
そうやって解されて、お腹が少しずつ柔らかくなっていくと、その内側に重い塊が溜まっているのが自分でもわかった。
本当ならちゃんと出しておかないといけないもの。食べたものの成れの果て。塊はずっしりと固くて重い。こんなものがお腹いっぱいに詰まっているなんて、信じられなかった。
あ、だめ、またっ。今度は声を掛ける余裕もなく、ぶううっとおならが出てしまう。さっきと同じくらい大きな音。
恥ずかしいけれど、揉み解されたお腹はさっきより少しだけ楽になっていた。そこは先程までは氷のようにひんやりとしていたのに、いつの間にか熱を持って火照っている。全身びっしょりと汗に濡れていた。
スライムさんの動きは更に変わる。お腹を揉みながら、全体的に大きく円を描くようにくるくると撫でる。
そのくるくるに合わせて、お腹がきゅるきゅる鳴った。あれだけ動かなかったお腹がゆっくりとうねる。
お尻に再び熱い感触がして、あ、と思った時には、熱いおならが漏れていた。ぶううーっ、とガスが抜けていく。
「あっ、ああ、ぁっ……!」
気持ち良さと、切なさ。おなかはゆっくりと動き出したかと思うと、突然、堰を切ったように大きくうねる。ぐるるるる、と低く大きな音がお腹から鳴り響いた。
ああぁっ、これ、だめっ、お腹痛いっ……! ぐるぐるとお腹が唸っている。お腹に詰まっていた物を一気に押し出されようとしている。
ごろごろ、ぎゅるぎゅる。お腹がうねって、唸って。スライムさんの動きに合わせて、お腹は激しく脈打って、中身を運ぼうと動いていく。
あ、あ、だめ、で、ちゃう、っ……! またお尻が熱くなる。反射的に我慢しようとしたけれど、スライムさんがお腹をぎゅうっと押して、それに合わせてぶうううっ! とおならが漏れる。
あ、あ、だめ、おなか痛い、うんち、したいっ……! みち、みちと固く重い塊が、出口へ向かって押し出されていく。
「ま、って、スライムさん、ストップっ……!」
だめっ、おなか痛いっ、ほんとに痛いっ……! ぎゅるぎゅる鳴って、唸って、痛いのが全然治まらない。トイレ、行かないと、ほんとにだめっ……!
スライムさんは動きを止めない。優しく、ぐるぐると撫でるように。時折、ぎゅうっと強く押されて、そのまま円を描く。それに合わせて、お腹は塊を出口へ運んでいく。
「うあっ、あ、だめ、といれっ……、うんち、でちゃ、うぅっ……!」
もうだめ、我慢できない。スライムさんはお腹に張り付いたままだったけれど、構っていられなかった。
ベッドから起き上がり、そのまま飛びつくように扉を開けて廊下に飛び出した。
あれだけ動かなかったお腹が、今はぎゅるぎゅるとひっきりなしに動いている。お尻をぎゅうっと締めて、暴れまわる猛烈な便意を必死に我慢しながら、廊下を進む。
一刻でも早くトイレに行きたい。そう思っても、膝が震えていて、歩くのがやっとだった。
「あ、あっ、あぁっ……!」
お尻がひくひくして、また、ぶうっと短いおならが出た。お腹が苦しくて、前屈みになって廊下を必死に歩く。
唸るお腹をちょっとでも落ち着けようと、ワンピースの上から手を添える。でもそこにあるのは自分のお腹ではなく、ぐにゃっとした感触。そのぐにゃぐにゃは波打つようにお腹を刺激し続けている。
「それ、もういいですっ、スライムさん、それだめっ、うんちでちゃうからぁっ……!」
前屈みになって、ぺたぺたと階段を降りる。一歩踏み出すことに、お腹のうねりが激しくなる。ぶっ、と何度目かのおならが漏れる。ひくひくするお尻のすぐそこまで、固く重い塊が迫っているのがわかる。
だめ、でちゃう、うんち、でる、でちゃうっ……! 咄嗟にワンピースの上からお尻を押さえて、そのまま一気に階段を駆け下りた。
指先でお尻の穴がひくひくしている。今にも出てしまいそうで、全身に悪寒が走り抜ける。
「あ、あ、ああぁっ……!」
階段を降り切る。扉に飛びつく。鍵は、開いていた。
さっきも入ったトイレの個室。中に飛び込んで、お尻を押さえたまま、片手でがちゃがちゃと鍵を掛ける。
だめ、でる、でちゃう、うんち、うんちでる、もうだめ、もうだめっ……! 片手でお尻を押さえて、反対の手で下着を掴みながら、ぽっかりと口を開けてそこにある白い便器に近付く。
「あ、だめ、だめっ、でる、うんち、でるぅっ……!」
指の先でお尻がぐわっと開く。咄嗟に手を離して、両手で下着を引きずり降ろしながら、便器に座り込んた。
瞬間、みちみちみちっ! と固く重いものが勢いよくお尻から飛び出した。
「ん、あ、あっ、あぁぁっ……!」
塊はぼこぼこしていて、大きくて、固い。お尻の穴がこれ以上ない程に広がって、ぼこぼこがゆっくりゆっくりと出ていく。その感触に、腰のあたりにぞくぞくとしたものが走った。
「あっ、あっ、んぅ、ん、ぅんんっ……!」
ああ、でる、うんち、でる、でるっ……! お腹のうねりに合わせて力を入れる。ずるずると塊はお尻を広げて外へ出ていく。
お尻が切れちゃう、それくらい大きな塊がお尻を通り抜けた瞬間、そこが一番太かったようで、残りはずるっと一気に飛び出した。ぼちゃんっと水面に塊が落ちる音。
「あぁっ……、はっ、あぁぁ……」
で、た。うんち、でたっ……! 苦しかったお腹が少し楽になる。はあはあと大きく息を繰り返すと、途端にお腹がぎゅるるるっと音を立てた。
お腹を撫でようと触れると、予想外のぐにゃぐにゃした感触。今まで完全に忘れていたけれど、そこに張り付いたままのスライムさんの存在を思い出して、かあっと顔が熱くなった。
「スライムさん、見ないでくださいねっ……!」
目隠しして見えないようにしたかったけれど、スライムの目がどこなのか未だにわからない。
私の手の下で、スライムさんはぐにゃぐにゃと動く。太ももに掛かっていたワンピースの裾が持ち上がって、そこから緑色の体が伸びてくる。
いつも通り手の形になったかと思うと、親指を立ててグッドポーズ。だから、何がグッドなのか……!
苦言を申そうにも、幾分余裕が出来たお腹がぎゅるるると音を立てて唸るのが先だった。
「んんっ、あ、ぁ、また、うんちっ……」
お腹に力を籠めると、またお尻がぐわっと開いて、次の塊がゆっくりと出てくる。さっき程ではないけれど、それでもみっちりと固く大きい。
そんなものがずるずると一気に通り抜けて、ぼちゃんと水溜まりに落ちていく。ぞくぞくと腰のあたりに響く気持ち良さに息をつく暇もなく、また次の塊が追いかけるように出てくる。
それも出すと、お腹は随分楽になった。大きな塊が通り抜けた余韻で、お尻がじんじんと甘く痛む。
大きく呼吸を繰り返しながらお腹をそっと撫でたけれど、私が撫でているのはスライムさんだ。その代わりなのか、スライムさんは私のお腹の上で、くるくると円を描くように脈打って動いた。
だから、それ駄目ですっ……! 声に出すより先に、お腹がきゅるきゅると動き出す。あんなに出したのに、まだ出そうっ……。お腹に手を当てたまま、ぐうっと力を入れる。
ぶっ、と何度目かわからないおならの後に、さっきよりずっと柔らかいものが出てくる。それがぼちゃんと落ちてもまだお腹はすっきりしなくて、お腹に力を入れる。スライムさんもそれを応援するかのように、お腹を擦り続けていた。
ぼちゃん、ぼちゃん、とうんちが出てくるたびに、お腹はどんどん楽になっていく。それを何度か繰り返すと、お腹はやっと落ち着いた。
もう何も入ってない。全部、出た。空っぽになったお腹に、はああ……っと大きな熱いため息が漏れた。
気持ち良かった、いっぱい出た。すっ……きりしたぁ……!
爽快感とは裏腹に、全身はぐったりと疲れていた。便器に座ったまま、ぼーっと空を眺めていた。そうしていると、お疲れ様とでも言うかのように、スライムさんの体が伸びて、私の太ももをべちべちと叩いた。
我に返り、お尻を拭う。ややお尻を浮かせて、便器の中身を見て、自分でも驚いた。白い便器を埋め尽くす茶色い塊。こんなに自分のお腹に溜まっていたと思うと、驚きと恥ずかしさで全身が熱くなる。
お尻を拭いてから、水を流す。便器いっぱいに溜まったうんちは何とか流れてくれて、二度も流すと元の白い便器の姿に戻った。
手を洗って、濡れた手のまま火照った頬を包み込む。スライムさんは変わらずお腹に張り付いたままだった。
トイレから出ると、周りには誰もいなかった。良かったと心底安心した。それから、この最中に誰も通りかかっていないことを祈った。
軽い足取りで階段を上っていく。あれだけ張っていたお腹はぺたんと戻っていて、気持ち悪さも苦しさも完全に消えていた。こんなに体が軽いなんて、自分でもびっくりだ。
階段を上り切り、スライムさんのようにぴょんぴょん跳ねたいくらい軽やかな気持ちで部屋に戻る。
まずベッドに腰掛けて、ワンピースの裾を持ち上げると、うにょうにょ動いてスライムさんが出てきた。スライムさんは一旦ベッドに乗ったが、私がワンピースの裾を下ろすと、その上に乗った。
膝にスライムさんが乗ったまま、後ろに寝転ぶ。全身すっきりしていて、程良い疲労感に包まれていた。このまま寝てしまいそうなのを堪え、重い瞼を持ち上げて膝の上のスライムさんを見る。
「スライムさん、お腹、ありがとうございました」
マッサージは痛かったけれど、まさかこんなに効果があるとは思わなかった。スライムさんはうにょうにょと胸の上まで移動すると、体の一部がみょーんと伸びる。それから、親指を立てたグッドポーズ。
良かったねの意味なのだろうか。それには恥ずかしくなったけど、良かったのは本当だったから、照れ笑いを返した。
でも、こんなにすっきりすると思わなかった。スライムさんのマッサージにはすごい効果があるのかもしれない。これならお薬が無くても、大丈夫だったりしないだろうか。次なんて、あまり考えたくないけれど。
「あの、もしもの話ですけど。……また、お腹辛くなったら、マッサージしてもらえますか?」
恥ずかしかったので、声は小さくなった。スライムさんは自分の体をべちべち叩く。多分、任せとけの意味だ。
「……ありがとうございます」
お礼を言うと、スライムさんは手を広げた。何かと思ったけど、そういう意味かとすぐにわかり、私も手を広げて持ち上げる。手が重なり、べち、とハイタッチの音がした。
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スライムさんは定位置の机の上に戻る。私は明かりを消して、ベッドに潜り込んだ。
すっきりしたお腹にそっと触れる。あれだけ張って膨らんでいたのが信じられない程、ぺったんこのお腹。思い出すだけで恥ずかしくなるけれど、本当に本当に気持ちよくて、すっきりした。
今日はよく眠れそうだ。たっぷり寝て、明日も頑張らないと。目を閉じた瞬間、意識がどろりと溶けて夢の中へ入り込んでいく。おやすみなさいと夢と現実の間で呟いて、私は深い眠りに落ちていった。
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初出: 2021年8月15日(pixiv・サイト同時掲載) 掲載:2021年8月15日