お代わりまでは待てません

※登場人物はロボットなので出すものは尿ではありませんが、出したものを飲む描写があります。「飲尿」が苦手な方はご注意ください。

 

 人型給水ロボットWater for you、通称Wafou(ワフォウ)。僅かな食事と規定のサプリメントを与えることで、体内で水を生み出します。水は腹部の貯水タンクに溜められて、下部にある排出口より、人でいう排泄の形で出されます。
 味や匂いを心配される方もおられるでしょう。ご安心ください。Wafouの生み出した水は無味無臭、温度は約36度と非常に飲みやすくなっております。
 それどころか、この水には様々な栄養が含まれており、コップ1杯で1日に必要な栄養の約3割を補うことができます。
 ただ、Wafouから排出後の水は傷みやすくなっております。容器などを用いて保管は行わずに、速やかにお飲みください。

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 僕はWafouの男性型、型番はWFY-M-0063。ご主人からはロミと呼ばれています。

 現在時刻は23時56分。普段ならばご主人は既に帰宅している時間ですが、本日はまだ帰宅しておりません。
 今から5時間26分前、ご主人の仕事終了時間である18時30分にメッセージが届きました。ご主人の持つ端末から送られた言葉は『遅くなります』との簡潔なものです。
 ちなみにWafouには事前に登録された端末とのメッセージやり取り機能が搭載されていますが、基本機能のみだとこのような定型文しか送れません。

 この定型文が届く場合、ご主人の状況には二つの可能性があります。残業を行っているか、ご友人とお酒を交えた食事に出掛けたかのどちらかです。
 前者の場合は大抵の場合、終電で帰宅されます。多少の前後はありますが、23時43分頃には自宅へ辿り着くでしょう。
 後者の場合は残業と同じく終電で帰宅されることもありますが、終電後も食事を楽しまれた後、タクシーで帰宅されることも多々あります。
 現時点での状況・情報から考えて、おそらくご主人は残業ではなく、ご友人と食事に行っているのでしょう。そして、終電の時間を超えてもまだ楽しんでおり、タクシーで帰宅されると予想できます。

 昨今は物騒なニュースも多いです。夜分に駅からひとり歩く事を考えれば、タクシーでの帰宅は安全で合理的です。ただ、その場合は帰宅時間の予想が僕にはつきません。それは非常に困りました。
 何時頃の帰宅になるか確認しようにも、ご主人にメッセージを送ることは今の僕には出来ません。正確に言うと、僕の意志に関係なく、貯水タンクの状況に応じて通知が送られています。ただ、仕事中に『現在、約●ml溜まっています』や『満水が近付いています』といった通知が届いてもどうしようもないからと、ご主人は通知をオフにしています。
 これもオプション機能の導入で、僕からも自由にメッセージを送ることが可能になるのですが、月額料金が掛かるのでご主人は渋っておられます。その割に新商品にはどんどん手を出しておられるので、ご主人の優先順位はよくわかりません。

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 現在、日付が変わって、0時14分。ご主人はまだ帰宅していません。また、何のメッセージもありません。まだご友人とお楽しみなのでしょうか。それとも、もうタクシーには乗っているのでしょうか。
 最近ではWafouを導入しているお店もあるそうです。もしかして、僕以外の水を楽しんでいるのでしょうか。Wafouの水は基本的には無味無臭ですが、個体によって多少の差があるとも聞きます。だからと言って、僕というものがありながら、それはどうかと思います。
 そんな余裕があるなら、僕のオプションを色々導入してほしいです。そうすれば給水機能以外にも色々出来るようになって、もっとお役に立てるのに。

 もう遅い時間なのもあり、部屋の外も中もとても静かです。うう、と自分から漏れ出た声が聞こえました。ソファに座り、点滅する時計の表示をただじっと見つめていました。
 腹部の下、貯水タンクがある辺りをそっと撫でました。タンクは特殊な素材で出来ていて、普段は小さく萎んでいますが、中身が注がれるのに合わせて大きく膨らむという、人の膀胱と同じような作りです。

 ご主人が仕事で不在の間、溜まった水はご主人と同じようにトイレで排出させてもらっています。大体3~4時間に一度排出していますが、ご主人の帰宅時にはある程度溜まっているように調整しています。
 ご主人は夕食時と入浴後、それから就寝前に水を飲まれます。その時にタンクが空であっては大問題なので、調整はとても大切です。
 今日も17時3分に排出してタンクを空にしました。一度排出を始めると、途中で止めるのは難しいので、どうしてもタンクは空になってしまいます。それから軽食とサプリメントを摂取して、洗濯物を畳んだり掃除をしたりしていると、ご主人から遅くなるとのメッセージが届いた次第です。

 ご主人はお酒が結構好きなようで、泥酔までは行かないまでも、それなりに酔った状態での帰宅が予想されます。酔ってご機嫌なご主人を大人しく寝かせるのはなかなか大変なのですが、それ以上に大切なことがあります。
 お酒の後には水分を取る必要があると聞きました。それにWafouの生み出す水は二日酔いに効くとの情報もあるので、ご機嫌なご主人にちゃんと水を飲ませるのも大事な仕事です。

 その為に、僕の貯水タンクには現在水が溜まっています。普段より大きく膨らんでいて、いっぱいに溜まった水が僕の体温で温められています。これならご主人がいつ帰宅しても、満足するまで水を飲ませてあげることが出来ます。
 だから、早く帰ってきてください、ご主人。貯水タンクはもういっぱいです。お腹が苦しいです。ぞくぞくと嫌な信号が全身に響いています。ご主人の端末には『満水が近付いています』『はやく排出してください』の通知が何度も何度も送られていると思われます。

 じっと座っていられず、膝がゆらゆらと動きます。ぞくぞくと脈打つような悪寒が走り抜けて、全身が勝手に震えます。大きく膨らんだタンクが張り裂けそうで悲鳴を上げています。
 はやく排出してくださいと何度も何度もメッセージが発されています。それに従うように、体が勝手に排出機能を起動させようとしているのがわかります。お腹を撫でて勝手な行動を押さえ込みますが、体の内側で勝手な信号が暴れまわっていて、全然落ち着きません。

 様々な機能が排出しない状態の維持に集中しています。そのせいか、上手く呼吸が出来ません。は、は、と短い呼吸を繰り返して、必死に落ち着かせます。開いてしまいそうな排出口を必死に塞いで、大きく膨らんだタンクから溢れないように必死に留めます。
 時刻は0時29分。ご主人は今、どの辺りだろう。僕の居場所はご主人様の端末で確認できますが、逆は出来ません。これもオプション機能で出来るようになりますが、ご主人は導入を考えたことすらなさそうです。今度、メッセージ機能と共に導入を強く勧めようと思いました。

 ぞくぞくと、嫌な信号が全身に響き渡っています。ご主人、はやく帰ってきてください。もう、限界です。お腹が破裂しそうです。お願いです、はやくっ……。
 じっと座っていることも出来ず、ソファの上でお尻を動かしてしまいます。両足は擦り合わせて、内側で響く信号から逃れようと無駄に足掻いてしまいます。

 出したい、もう出したくて出したくてたまりません。貯水タンクははち切れそうな程に大きく膨らんでいて、もう限界だと震えています。こんなに膨らんだら、もう縮まないんじゃないかと心配になる程です。もう満水は既に超えていて、無理やり詰め込まれているような状態です。
 は、は、と浅い呼吸を繰り返して、もじもじと身を揺すって、必死に堪えますが、もう本当に限界です。
 ご主人、はやく、はやく帰ってきてくださいっ……!

「あ、あっ……」
 ぞくりとこれまで以上に強い信号が全身に走りました。それに反応した体がびくっと跳ねて、排出機能が熱を持って稼働するのを感じます。瞬間、タンクを隙間なく満たしていた温かな水が、先端に向かって勢いよく流れていく感触が全身を襲います。
「うぁ、ぁっ……!」
 じゅう、と先端の排出口から熱い液体が吹き出しました。咄嗟に手でぎゅうっと押さえて、物理的に押し留めます。座っていられず、ソファから腰が浮きました。
 お腹のタンクがずっしりと重いのがわかります。ぎゅうぎゅうと排出口を押さえたまま、それでもぞくぞくとした信号は収まりません。その信号に感化されたのか、僕の体は勝手に足踏みを繰り返していました。

 ああ、だめ、でる、でちゃうっ……。貯水タンクはもう限界を超えていて、大きく膨れ、薄くなった膜の内側は僅かな隙間もなく、水で満たされています。静かな室内で、ぺたぺたとフローリングを踏む足音と、は、は、と短く荒い呼吸を繰り返す音が聞こえます。
 だめ、でる、でるでるでる、もうだめ、限界、です、で、る……! 重い貯水タンクを抱えるように、自然とお尻を突き出した体勢になってしました。

 全ての機能を我慢することに回して、必死に堪えていますが、もうそれも本当に限界です。何も考えられず、ただ出したくて出したくてたまりません。想定されていた容量を超えていると、エラーに近い信号が体の中で響き渡っています。
「あ、あ、あぁっ……!」
 短い呼吸の合間に、自然と声が漏れていました。駄目っ、だめだめだめ、だめ、でも、もうだめ、でるぅっ……! 手で塞いでいるのに、それを押しのけるほどの勢いで、じゅう、と水が噴き出してしまいます。手の中で、肌に触れている下着がぐっしょりと濡れているのがわかります。

 でる、もうだめ、でる、でる……! 強く押さえて、足踏みを繰り返して。必死に堪えているのに、体が発する信号は強く激しくて、またぶじゅ、と吹き出すのがわかりました。
 だめ、だめ、でる、でるでるでる、でる、でるっ……! もうこれ以上の我慢は無理だと、全身が叫んでいました。
 だめ、ださないと、おかしくなってしまう。ここじゃ駄目だ。はやく、トイレ、にっ……! 震える足を必死に動かし、部屋を出ようとしたその時、がちゃがちゃと玄関の方から音が聞こえました。

「開いた開いたー。ロミ、たっだいまー、って流石に寝てるかな」
 扉が開く音に続いて、耳に馴染んだ声が聞こえました。いつもよりのんびりした話し方は、酔って帰ってきたときのご機嫌な雰囲気を纏っていました。

 ご主人だ。帰ってきた。帰って、きた! はやく、はやくしないと! 限界を超えて、もう溢れる寸前の状態で、それでも最後の力を振り絞って、震える足で玄関に向かいます。手を離したらその隙に出てきてしまいそうで、前をぎゅうぎゅうと押さえたままの不格好でしたが、今はなりふり構っていられませんでした。
「ご、主人っ、おかえりなさいっ……!」
 玄関で靴を脱いでいるご主人に、いつもの挨拶をする。ご主人は危なっかしい足取りで家へ上がると、ふにゃふにゃと緩い笑顔を僕へ向けた。

「あー、ロミくん、起きててくれたのー? ありがとねー」
 そう言って僕に近付くと、おもむろに僕の頭をぐしゃぐしゃと撫でました。普段ならそれも嬉しいけれど、今はそれどころではありません。危険信号に急かされて、僕は足踏みを繰り返しながらご主人を急かします。

「ご、ご主人! お水、お水飲んでください!」
「えー、ワインいっぱい飲んだから喉乾いてないよ?」
「お酒じゃ駄目って前も言いました! お水! ちゃんと水分取ってください!」
「わかったわかった。ちょっと待ってねー、コップ出すから」
 慌てる僕とは裏腹に、ご主人は普段以上にマイペースです。玄関に鞄を置いたまま、よたよたとした足取りで奥へと歩いていきます。その背中を震える足で追いかけながら、ひくひく疼く出口をぎゅうぎゅうと押さえていました。

 ご主人は台所に入ると少しよろけて、そのままシンクの縁へ寄りかかりました。危ない危ない、なんて口では言いながらも全然慌てている様子には見えません。
 おっとりした動作で、シンクの横に伏せられていたコップを手に取るのを見ながら、僕はもう耐えきれずに、ズボンの前を下ろしていました。震える手で、ひくひくと疼く出口をぎゅうと押さえながら引っ張り出します。そこは温かな雫で濡れていました。

「はい、お願いします。ロミのお水ちょーだい?」
 ご主人はコップを僕の方へ差し出しました。それは食事の時にいつも使っているもので、ご主人の手に収まるほどの小ぶりなサイズです。
 そんな小さな容器じゃ、絶対に足りない。そう思ったけれど、代わりのコップを探す余裕どころか、それを言う余裕もありませんでした。差し出されたコップに、もう体は制止を振り切って、排出機能を全力で稼働させていました。

 ぶじゅうと弾けるような水音がして、排出口を押さえた手が熱く濡れました。あ、あああ、だめ、でる、でるっ……! 震える手で、先端をご主人の持つコップへ向けました。瞬間、じゅうう、と激しい水音と共に、熱い液体が噴き出しました。
 貯水タンクで温められた水が勢いよく流れていきます。腰のあたりにぞくぞくとした信号が走りました。
 あ、あ、でた、だ、せたっ……! 膝が震えて、力が抜けてしまいそうになるのをぐっと堪えて、何とかその場に立っていました。

 やっと排出できた事に安堵が巡ったけれど、それはすぐに消え去りました。ご主人の手にある小ぶりなコップには水流が勢いよく注ぎ込まれていました。その勢いに飛沫が散り、ご主人の手を濡らしています。それよりも、その小さなコップには並々と水が溜まっていて、もう満水間近だという事の方が今の僕には大問題でした。
「あー、溢れちゃう、ストップストップ」
 その言葉に、全身をフル稼働して何とか排出を止めることが出来ました。コップは縁のすぐそばまで水が注がれていて、ご主人はそれを零さないようにゆっくりと口元へ運びました。
「ありがと。いただきます」
 ご主人はへにゃっと笑って、濡れた手のままコップに口を付けました。白い喉がごくりと動いて、ご主人の体内へ水分が落ちていきます。それを見ながら、僕の体の中では激しい衝動が荒れ狂っていました。

 少し出したことで余裕が出来て楽になるかと思ったけれど、そんなことはありませんでした。膨らみすぎたタンクは排出を始めると、元の大きさを目指して一気に縮み始めていました。
 それなのに、出せたのはコップ一杯の僅かな量。勢いよく縮んだタンクは僅かな隙間すらもなく、それどころか、先程の勢いで今も縮もうとしていました。

 あっ、あ、だ、めっ、でる、でるでるでる、だめ、だめっ……! はやく出したい。ご主人のコップにはやくお代わりを注ぎたい。けれど、ご主人はその小さなコップをのんびりと傾けています。
 あ、あああっ、だめ、だめ、だめっ……! 出口を手で無理やり塞ぎながら、荒れ狂う衝動に身を捩って必死に耐える。出したい、出したい、はやく、何でも良いからはやくっ……!
 救いを求めて視線を巡らせて、ご主人の隣に吸い寄せられました。そこに伏せたままになっていたのは、ご主人が家でお酒を楽しむ用のタンブラー。さっきのコップよりも背丈があって、大きさもあります。

 もう余計なことは考えられませんでした。震える手でタンブラーを掴んで、必死に塞いでいる出口へ当てました。瞬間、塞いだ手を弾き飛ばすほどの勢いで、堰き止めていた水が一気に吹き出しました。
 間一髪、排出口から飛び出した激しい水流はタンブラーの中に飛び込んで、びちゃびちゃと激しい水音をカナで始めました。

 あ、ああ、あぁっ……! 排出機能はもう何にも妨げられず、全力で稼働し始めました。貯水タンクは勢いよく縮み、溜まりに溜まった水が一気に押し出されていきます。じゅうう、と太い水音と共に、震える手の中でタンブラーが重さを増していきました。
「わ、すごい。そんなに我慢してたの?」
 ご主人が緩い笑顔のまま、こちらを覗き込む。その視線に、全身の温度が一気に上がるのを感じて、咄嗟に顔を伏せました。

 内側から込み上げる羞恥に、頭が混乱します。これは僕の本来の機能を使っているだけです。ご主人の前で排出するのもいつものこと。それなのに、今はその視線を向けられると、奥底から何かが込み上げて、オーバーヒートしてしまいそうになります。
 限界を超えて色んな機能を酷使したから、エラーが起きているのでしょうか。全身、その中でも頭が、燃え上がるように熱くなっていました。

 タンクがはち切れる寸前まで溜めた水がタンブラーにどんどん注ぎ込まれて、じょぼじょぼと心地いい水音が鳴っています。ぼんやりしたまま視線を手元に向けると、水面はどんどん上がってきて、タンブラーの縁まで迫ってきていました。それなのに、貯水タンクにはまだまだ水が残っています。
 だめ、溢れる、から、止めないとっ……。そう思うのに、体は命令を受け付けません。貯水タンクが縮むのはもう止められず、中身はどんどん排出されていきます。

「あ、あっ……」
 咄嗟に声が漏れたけれど、どうすることも出来ませんでした。水面はとうとう縁を超えてしまいました。溢れた水がタンブラーを握る手を温かく濡らしていきます。びちゃびちゃ、と床に雫が落ちて、足元を濡らしていきます。
「あーあー、溢れちゃったー」
 ご主人の楽し気な声。ごめんなさいと言おうとしたけれど、僕の全機能は排出に回されているようで、上手く言葉が出てきませんでした。

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 手元のタンブラーは満水を超えて、溢れた水が足元をぐっしょりと濡らしていました。ぴちゃ、ぴちゃと雫の落ちる音がして、やっと僕の貯水タンクは空っぽになりました。張り裂ける寸前まで膨らんでいたタンクは、元のサイズまで小さく縮んで軽くなっていました。
 他の機能が普段通り働き始めて、短く浅かった呼吸が長く深くなり始めました。手に持ったタンブラーは重く、縁いっぱいまで水が注ぎこまれています。手足が何故か震えていました。

「いっぱい溜めてくれてたんだねー、すごいすごい。良い子良い子」
 俯いたままの僕の頭を、ご主人がぐしゃぐしゃと撫でます。その感触に、じわりと目のあたりが熱くなって、濡れていきます。
 体がおかしいです。やっぱりエラーを起こしているのかもしれません。貯水タンクが空になるまで全部出したはずなのに、どこかに水が残っていたのか、涙となって溢れてきて止まりません。

「遅くまで待っててくれてありがとね。床は拭いておくから、ロミは着替えてゆっくり休みなさい」
 頭を上げられないまま頷くと、重いタンブラーをご主人の手が持っていきました。それから、柔らかな手が僕の手に触れます。
 僕の手はご主人以上に濡れていましたが、ご主人は気にした様子もなく、ぎゅっと握ってくれました。
「たっぷりだ。これはシャワーを浴びたらちゃんと飲むから安心して」
「……飲酒後に、入浴は危ない、です」
「シャワーくらいなら大丈夫じゃない?」
「……大丈夫じゃないです」
 ご主人は只でさえ危なっかしいのに、酔っていると輪をかけて危ないのです。

「わかったわかった。お風呂は明日にするから、着替えて一緒に寝ようか」
 頷くと、ご主人は台所に置いていたタオルで僕の手を拭ってくれました。
「お水、一日くらいなら大丈夫かな。冷蔵庫に入れておいて、明日起きたら飲むよ」
 本来なら、排出後の水の保管は勧められていませんが、それくらいなら大丈夫じゃないかと思いました。何より、ご主人が気を使ってくれているのが痛い程わかって、その申し出を無碍には出来ませんでした。

「着替え着替えー。あとタオルも持ってこないとね」
 手伝わないと、と思ってそっと顔を上げると、ご主人は変わらずへにゃへにゃと笑っていました。
 手を引っ張られて、それに合わせて張り付いたように動かなかった足を頑張って動かします。べちゃ、と濡れた足音がしました。

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初出: 2021年9月20日(pixiv・サイト同時掲載) 掲載:2021年9月20日

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成人済の時々物書きです。 スカ、女攻め萌え。BLよりはNLやGLが好きです。
18歳以上ですか? ここから先は、成人向けの特殊な趣向の小説(女の子、男の子のおもらし等)を掲載しています。