『飲み会終わったよ。今から帰るね。終電になっちゃった』
『お疲れさま。迎えに行くから』
『大丈夫だよ。駅からそんなに離れてないし』
『駄目。改札出たところで待ってる』
『ありがとう。遅い時間なのにごめんね』
揺れる電車が私を静かに運んでいく。最終電車は最初こそ満員だったけれど、大きな駅を過ぎてからは人が減る一方だった。
空いた席に座って、一息つく。楽しい時間とアルコールの余韻で頭がぼんやりした。窓の外は真っ暗で、時折開く扉から流れ込む空気はとても冷たい。膝丈のスカートの中には厚めのタイツを履いているけれど、それでも寒かった。
ぶるりと体が震える。ぼんやりした意識の中に、嫌な感覚が広がっていく。鞄を握る手に力が籠った。
お店を出た時から少しトイレに行きたかった。でも、それ程でも無かったので、そのまま電車に乗り込んだけれど、ぞわぞわする感触は治まってはくれない。
スカートの下でさり気なく膝を擦り合わせて、静かに息を吐いた。喉を潤したお酒やジュースがお腹に溜まっていて、コートの内側でお腹が重くなっていた。
窓の外に目を向けると、最寄り駅までは残り数駅だった。電車を降りたらトイレに行こう。駅のトイレはあまり使いたくないけれど、尿意は時間と共に高まっていて、気持ちが落ち着かない。
何度目かの溜息をつくと、また扉が開いた。寒さに身を震わせながら、冷えた指で鞄の持ち手をぎゅっと握った。
そわそわしながら座っていると、気付けば次が最寄り駅だった。静かに息を吐いて、吸って、到着するのを待つ。
あっという間に電車は次の駅へと辿り着いてくれた。スピードが落ち始めたのを確認して立ち上がる。まだ開いていない扉の前に立って、静かに息を吐いた。
トイレ、行きたい。……おしっこしたい。頭の中で言葉にすると、ぶるりと体が震えた。嫌な感覚がぶわっと広がって、慌てて両足を寄せた。
開いた扉から外に出ると、空気が火照った頬を冷やした。コートを着ていても外は寒くて、体が縮こまる。吐いた息が白く染まっていた。
階段がすぐそこにあった。改札に行くには階段を降りればいいけれど、トイレがあったかは覚えていない。ホームを見回してみたけれど、それらしき表示は見つけられなかったので、ひとまず階段を下りることにした。
かつん、かつんとヒールが地面を叩く音が響く。他に降りた人はいないのか、私の足音以外は聞こえなかった。
一番下まで降りると、改札と駅員室は目に入ったけれど、それ以外が見当たらない。どうしよう、トイレ、どこにあるんだろう。
周りを見回そうとして、改札の向こう側の人がこちらを見ていることに気付いた。冬物のコートを着て、すらりと背の高い人。目が合うと、やあ、と言うかのように手を上げて応えてくれた。
電車に乗る前にやり取りした通り、迎えに来てくれたようだった。それはとても嬉しかったけれど、正直、今は少し困ってしまった。まだトイレが見つけられていない。今から探す間、そしてトイレに行っている間、寒空の下で待っていてもらうのは申し訳なかった。
家まで我慢、出来るかな。歩いて十分くらいで着くとは思う。迷う自分の内側で、ぞわぞわと嫌な感覚が広がる。誤魔化すように膝を擦り合わせた。
少し迷ったけれど、息を吐いて、鞄をぎゅっと握りなおして、足を動かした。鞄からパスケースを取り出して改札をくぐると、人気のない駅前でひとり立っていた彼がこちらへ近付いた。
「やーちゃん、おかえり」
「ただいま、るり。ごめんね、寒いのに」
「全然良いよ。と言うか、こういう時は迎え頼んで。心配だから」
「でも、家まですぐだよ。人も全然いないし、大丈夫だよ」
「人がいないから心配なの。何かあったら大変だから、絶対連絡して」
「うん、わかった。ありがとう」
話しながら、さり気なく鞄を持ってくれる。伸ばされた手を握ると温かくて、自分の手が思ったより冷えていたことに気付いた。
手を繋いだまま、夜道をふたり歩いていく。遅い時間だからか、人気は全く無く、ふたりの足音以外は何も聞こえない。駅から離れて行くと、胸の中を不安がじわじわと満たしていく。
外は寒くて、コートを着ていても体が冷えていく。ぞくぞくと刺すような悪寒が込み上げて体が震えた。どうしよう、トイレ、行きたい。おしっこしたい。歩きながら、頭の中はおしっこのことでいっぱいだった。
「飲み会楽しかった?」
「うん」
「久しぶりに会う友達もいたんだっけ。良かったね」
「う、ん。そう、だね」
頭の中はトイレのことでいっぱいで、彼の言葉を理解するのにすごく時間が掛かってしまい、適当な相槌を打つことしか出来ない。こんなのは駄目だと思うけれど、尿意はどんどん強くなっていて、それどころじゃなかった。
足を踏み出すたびに、お腹でたぷんと重たい塊が揺れる気がする。飲んだお酒もジュースも全部そこに入っている。はやく、出したい、おしっこしたい。じんじんと嫌な感覚が響く。
今、誰もいなかったら、恥ずかしさを押しのけて、スカートの上からぎゅうっと押さえてしまっているかもしれない。それくらい、おしっこがしたかった。
あと少し、もうちょっと。手を繋いで、ただ歩くことに集中する。私が生返事だからか、彼はそれ以上話しかけてこなかった。申し訳ない気持ちもあったけれど、それより今はトイレに行きたかった。
何とかマンションに辿り着くことが出来て、少しだけ安心した。あと少しだけ、我慢。エレベーターのボタンを押すと、待ち時間なくすぐに扉が開いた。
私が先に乗って、後ろから彼が着いてくる。彼がボタンを押すのも、扉が閉まるのも、とてもゆっくりに見えて、気持ちだけがどんどん焦っていた。
あと少し。もうちょっと。部屋に入ったら、恥ずかしいけれど真っ先にトイレに行こう。もう本当にぎりぎりで、おしっこがしたくてたまらない。スカートの中で足が震えていた。小さく息を吐く音はエレベーターの動く音に紛れた。
我慢、我慢。頭の中で繰り返しながら、空っぽの両手を握り締めていると、突然、後ろからぎゅうと抱き締められた。いきなりの事に飛び上がりそうな程に驚いて、その瞬間、じわりと下着が熱くなった。あ、あ、だめ、おしっこっ……! 両足を寄せて、それ以上溢れないように出口を必死に塞ぐ。
私が後ろを向くより先に、るりが私の顔を覗き込んだ。背中は彼の胸にぴたりと触れていて、後ろから回された手が私の前で交差している。彼の頬は寒さのせいか少し火照っていて、こちらを見る目がにっこりと細められた。
「な、なに、どうしたの?」
聞いても、返事は無い。そうしている間も両足の付け根がじんじん疼いていて、さり気なく両足をすり合わせる。じっとり濡れてしまった下着が気になって仕方なかった。
抱き締められて身動きできずにいると、彼はそっと耳元に鼻先を寄せる。それから、小さな声でそっと呟いた。
「……トイレ、行きたいの?」
その瞬間、冷えた体の温度が一気に上がった。違う、と言いたかったけれど、虚勢を張る余裕も無かった。震える唇は何も言えずにそのまま閉じる。それから、ちょっとだけ首を縦へ動かした。
「可愛い。駅で行けば良かったのに」
「だ、だって、待たせるの、悪いから……」
「気にしなくて良いのに。部屋まであとちょっとで着くね。我慢できる?」
もう一度頷くと、大きな手が私の体をぽんぽんと叩いてから、背中から体温が離れた。振り向くと、ちょうどエレベーターが止まったところで、重たい扉がゆっくりと開き始めた。
彼に続いて私も下りる。見慣れた廊下が伸びていて、私の部屋も見えていた。あと少し、あとちょっと。彼の背中を追いかけて足を動かす。下着の中で出口がひくひく疼いていて、後ろにいるのを良いことに、スカートの上からその部分をぎゅうっと押さえてしまった。
「鍵、出して良い?」
私の部屋の前で、彼は私の鞄を軽く持ち上げて言う。頷いて返事をしながら、ぞわぞわと込み上げる嫌な感覚に必死に抗っていた。立ち止まっていながら、足が動いてしまう。
かつ、かつとヒールが地面を踏む音が廊下に響く。トイレ、トイレ、……おしっこっ! 彼が鍵を差し込むのを見ながら、ぎゅうと両足を寄せて、溢れそうなおしっこを必死に我慢していた。
扉が開く。彼が先に入って、私も追いかける。彼が電気のスイッチを押す。明かりの付いた中、靴を脱ごうとするけれど、ショートブーツのファスナーがなかなか下りない。
じっとしていると辛くて、おしっこがしたくてたまらない。泣きそうになりながら手を動かしていると、先に靴を脱いだ彼の手が伸びてきた。
「あんまり引っ張ると噛んじゃうよ。貸して」
トイレ、おしっこ、もうむり、でちゃう。ちりちりと片方のファスナーが下りる。はやく、はやく、おしっこ、はやく。ぎゅうっと押さえたくなるのを必死に堪えていると、反対の足もすぐにファスナーが下ろされて、やっと両足が自由になった。
「あ、あり、が、とうっ……」
お礼を言う声は震えていた。慌てて靴を脱いで、家へ上がる。トイレ、おしっこっ、おしっこっ……! トイレはすぐそこに見えている。コートを脱ぐ余裕もなくて、そのまま扉へ駆け寄ろうと足を動かした。
ドアノブへと伸ばした手は、何かに触れる前に横から掴まれた。突然のことに驚いていると、そのまま腕が持ち上げられる。強くは無いけれど、抗える程弱くもない力で体が押されて、背中が壁に当たった。
るりが私の正面に立っていた。腕を掴んだのも、壁へと押し付けたのも彼だった。
「る、るり? な、なに……?」
声も掴まれた手も震えていた。只でさえ頭がぐちゃぐちゃなのに、今の状況は更に訳が分からなかった。ただ、それでもトイレに行きたいことだけは変わらない。お腹の奥がぞわぞわする。たっぷり溜まったおしっこが暴れている。
すぐそこにトイレがあるのに行けない。ここなら動けない。冷たいフローリングの上で、足が震える。スカートの内側で、両足をぎゅうと寄せて、擦り合わせて、溢れそうなおしっこを必死に我慢していた。
「るり、何、どうしたの、離して」
彼は何も言わない。片手は私の手を握ったまま、反対の手がスカートに触れた。柔らかい布の上から大きな手の感触を感じる。冷えた太ももを撫でられて、ぞくぞくと体が震えた。
「まって、離して、るり、ほんとに待って」
足が震える。トイレ、おしっこ。スカートの中で、下着の中で出口がひくひく疼く。おしっこが出ちゃいそうで、おしっこがしたくて、辛くてたまらない。
「おしっこしたい?」
その言葉に全身が熱くなる。顔を伏せると、掴まれていた手が離れて、頬に触れられる。やだ、と小さく呟いた言葉は息となって彼の唇に当たる。口付けられて、吐く息も飲み込まれながら、コートのボタンが外されるのがわかった。
「や、やだ、まって、ほんとにまって」
唇が離れて、必死に言葉を紡ぐけれど、彼はそこから動かない。コートが脱がされて、彼も自分のコートを脱いで、足元に重たい布の塊がばさりと落ちた。自由になった手で彼の体を押してみたけれど、びくともしなかった。
もう一度口付けられて、大きな手がスカートの上から太ももに触れ、形を確かめるように上がっていく。痛いほどに膨らんだお腹の下の方に触れられて、体がびくりと跳ねた。
だめ、トイレ、おしっこ、おしっこっ……。もう何をどうしていいのかわからない。駄目だと、今にも溢れそうなおしっこを必死に我慢する。込み上げる衝動に抗おうと震える足が床を踏むと、床に落ちたコートに当たった。
「ま、って、ほんとにだめっ……」
彼の手はお腹に触れる。嫌だと頭を振るけれど、全然聞いてくれない。だめ、トイレ、おしっこ。じいんと腰のあたりに纏わりついた感覚が強くなっていく。
あ、あ、だめ、おしっこ、で、ちゃうっ……! ぞくぞくと悪寒が走り抜けて、おしっこが一気に押し寄せる。
咄嗟に、スカートの上から出口をぎゅうっと押さえた。エレベーターで濡れてしまった下着が肌に押し付けられて、嫌な感覚が広がる。けれど、今はおしっこを我慢しないといけなくて、他のことは気にしていられなかった。
「ぎゅーって押さえてる。可愛いね。出ちゃいそう?」
「や、やだ、るり、ほんとにだめっ……」
でる、でちゃう。押さえているのにおしっこは全然治まらない。彼の前だけれど、こうしていないと今にも溢れてしまいそうだった。
じっとしていられなくて、足踏みを繰り返す。楽な体勢を求めて前屈みになると、お尻が後ろの壁にぶつかった。
「そこでおもらししたら、コート濡れちゃうよ」
「や、やだっ、トイレ行く、からっ、おねがい、といれっ……」
もう自分でも何を言っているかわからない。おしっこを我慢するのに必死だった。お腹が張り詰めていて、苦しくてたまらない。おしっこ、おしっこでちゃう、もう、むり、でちゃう。全身がおしっこしたいと叫んでいた。
「場所替えようか。ちょっとだけ、じっとしててね」
ぎゅうぎゅう押さえて、息を吸って、吐いて。今にも溢れそうなおしっこを必死に我慢していると、大きな手がお尻に触れる。びくりと体が跳ねると、そのまま足が床から離れた。
不安定な体勢に、咄嗟に両手を彼の体に伸ばして、柔らかい服を掴んだ。お尻を支えられて、背中を抱かれて、子どもみたいに抱き上げられた状態で、家の中を進む。
「あ、あ、だめ、るり、といれっ……」
「もうちょっと我慢」
「むりっ、おしっこでちゃうっ……」
おしっこの出口がひくひくしている。息を吸うだけでも苦しい。でちゃう、おしっこでちゃう。彼の首に腕を回して、ぎゅうと抱き着いて、ぐちゃぐちゃになりながら必死に訴えかける。
おしっこ、でちゃう。心臓がばくばくと高鳴っている。歪んだ視界には見慣れた自宅の見慣れた場所が映っていた。明かりのついていない中で降ろされて、足が再び床を踏んだ。乾いたタイルの固い感触をタイツ越しに感じた瞬間、深く口付けられた。
驚いて、体が跳ねる。じゅわっとまた下着が熱く濡れる。あ、あ、だめ、おしっこ、で、ちゃっ……! 慌てて手で押さえようとしたけれど、それより先に大きな手がスカートの中に潜り込んだ。
「駄目」
「や、やっ、あ、まって、ほんと、にっ、で、ちゃっ」
「可愛い。俺が触ってあげるから、もうちょっと我慢して」
スカートの中に潜り込み、タイツの上から彼の指がすうっと撫でて、その感触に体が跳ねた。布越しのもどかしい感覚なのに、電流が走ったかのように体が震える。手は助けを求めるように彼の服を握り締めていた。
「ぁ、や、だめ、るり、だめっ……!」
駄目だと言っているのに、大きな手は勝手にタイツの中に潜り込んでしまう。じっとり濡れた下着の上からおしっこの出口を優しく撫でられて、体がぞくぞくした。
足が震える。腰が引けるけれど、彼の手は離れてくれない。タイツの中で窮屈そうに、敏感な場所を悪戯に触る。自分の荒い呼吸に混ざって、ぐちゅぐちゅと濡れた音が聞こえた。
快感が込み上げて、おしっこがしたいのと混ざって、自分でも訳が分からない。駄目だと思うのに触れられるのは気持ち良くて、体の芯が痺れた。
「あ、や、あっ、それ、だめ、だめっ……」
「下着濡れてるね。おしっこ出ちゃった? ちゃんと我慢しないと駄目だよ」
「や、ぁ、あ、まって、それ、だめ、だめぇっ……」
そっと撫でられるだけで、そこは敏感すぎるくらいに刺激を拾い上げて、体が震えた。足ががくがく揺れて、立っていることが不思議なくらいだった。必死に彼の服を掴んで、しがみ付いて自分の体を支える。
体の中で荒れ狂う感覚に耐えようとするけれど、振り回されてしまう。吐き出す息には溶けた声が混ざっていて、薄暗いお風呂場に響いていた。
彼の指が敏感な部分を優しく刺激する。何故かいつもより気持ち良くて、あられもない声が我慢できない。お腹いっぱいに溜まったおしっこがたぷんと揺れて、出ちゃいそうになる。それを必死に押し留めるのは苦しくて、体の中はぐちゃぐちゃで、でも、とても気持ち良い。
水音と共に、気持ち良いところにたくさん触られて、我慢できずに上り詰めていってしまう。あ、あ、あ、だめ、だめっ……! お腹がきゅううっと疼く感触。おしっこがたっぷり溜まったお腹に、気持ち良いのがじいんと響く。
「あ、ああ、あ、だめっ、るり、や、あっ……!」
息の合間に名前を呼ぶと、返事のように深く口付けられた。その間も彼の手は下着の中で指を動かしていて、体の芯がびくびく震えてしまう。
おしっこの出口をそっと撫でられて、その瞬間、ぶじゅっと熱いおしっこが溢れた。我慢しているのに、出ちゃう。駄目、なのに、気持ち良い。色んな感覚が掻き混ぜられて、混ざって、気持ち良いのがいっぱいになって、おかしくなってしまいそうで怖かった。
「っあ、あ……、だめ、るり、だめ、で、ちゃっ、あっ……!」
「すごいぐちゃぐちゃになってる。気持ち良い?」
「きもち、いっ、あ、やっ、だめ、おしっこ、でちゃうっ、あ、ああっ……!」
「……ほんと、可愛い。好き。おしっこするとこ見せて、やよい」
少し上ずった声で名前を呼ばれる。耳元で囁かれて、息が掛かるその感触ですら、体がぞくぞくした。ぐちゃぐちゃと水音を立てながら動く指は止まってくれない。
あ、あ、あ、だめ、だめ、あっ、あぁ、あっ……! 上り詰めるのに抗えない。じゅわあっと熱いおしっこが広がる。駄目と思うことすら出来なくて、気持ち良い感覚が体の中いっぱいに広がって満たしていく。
「あ、あ、あ、あ、ぁっ……!」
きゅううっとお腹の奥が縮む感じがして、頭が真っ白になった。色んな感覚が押し流されて遠くなっていく。息が上手く出来なくて、苦しさの中で快感を強く感じた。
彼の服を掴む手に力が籠った。じゅうう、と熱いおしっこが噴き出すのがわかった。
「あ、あ、や、ぁ、お、しっこっ……」
で、てる。おしっこ、で、ちゃっ、てる。じゅーっ、と水音が聞こえる。足を覆うタイツが熱く濡れて、冷えた足が焼けそうな程に熱くなっていく。駄目だと思うけれど、体に力は入らず、抗う事ができない。
「すごいね、いっぱい出てる」
噴き出す熱いおしっこの中で、私のものでは無い指が動いて、出口をそっと撫でた。びくん、と体が勝手に反応して跳ねた。
「や、はなし、て、きたな、い、からっ……」
「やだ。やーちゃんのおもらし、感じさせて」
余韻でぼんやりする体は上手く動かない。お腹が苦しくなる程に我慢したおしっこは全然止まらない。勢いよく噴き出したおしっこは彼の指に当たり、下着の中で渦を巻き、タイツを濡らしていく。床に張り付いた足が段々生温かく濡れていくのを鮮明に感じた。
「や、あ……、おしっこ、でちゃ、った……」
「いっぱい我慢してたね。良い子、良い子」
彼の服を握りしめたまま、呼吸を繰り返す。おしっこは全然止まらない。自然と俯いていた頭が彼の体にぶつかって、そっと視線を上げる。
暗くてもわかる真っ直ぐな視線とぶつかった。引き寄せられるみたいに口付ける。彼の指先が悪戯に動いて、敏感なところをひっかく。や、と思わず漏れた声は蕩けていて、それを飲み込むようにもう一度口付けられた。
すごく時間を掛けて、やっとおしっこは止まった。ぴちゃ、ぴちゃと水の滴る音と、私の荒い呼吸の音だけが聞こえた。明かりのついていない浴室で立ち尽くしていると、下着から彼の手が抜け出して、そのままぎゅうっと抱き締められた。
「ごめん」
「……るりのせいで、おもらし、しちゃった」
「うん。俺のせいです。ごめん。……でも、すごく可愛かった」
「……ばか」
熱いおしっこが無くなったからか、体は芯から冷えていた。寒くて、暖を求めるように彼の服へ体を寄せると、その分彼が腰を引く。それでも大きく膨らんだ部分はしっかりと私に当たっていて、顔を上げると誤魔化すように彼は笑った。
「……なんで大きくなるの」
「そりゃ、なるよ。可愛すぎたから」
「えっち。ばか。変態。すけべ」
「……否定はしない」
ぶつぶつ言っている間に、彼の手はまた私のスカートの中に潜り込む。おしっこでぐっしょり濡れた下着をタイツの上から撫でられて、びくりと体が跳ねた。
「脱がせて良い? というか、脱がせるけど」
「脱ぐだけ?」
「まさか」
軽く口付けられてから、タイツが降ろされていく。おしっこをしっかり吸い込んで、ぐじゅっと水音がした。彼は私の足元にしゃがみこんで、爪先からタイツを剥がした。
乾いていたはずのタイルはぐっしょり濡れていて、おしっこのにおいがふわりと香る。恥ずかしさに頬を染めていると、るりは膝を伸ばして、濡れた手で私の太ももに触れた。先程とは違い、足を覆うものはない。直接の感触に、お腹の奥がぞくりと疼いた。
そのまま体が寄せられて、スカートの中で彼の手が動く。濡れた下着をするする降ろされて、体に力が籠もった。タイツと同じように脱がされると、彼は俯いたまま小さな声で呟いた。
「ごめん」
謝るのと同時に足を掴まれた。何をするのかわからずに戸惑っていると、はあ、と彼が熱く息を吐く音が聞こえて、どきっと胸が跳ねた。ぶつかった視線には熱が灯っていて、落ち着き始めた鼓動が再び早まっていく。
「全部脱がそうと思ったけど、無理。我慢できない」
言いながら、彼の手が自分のズボンの前を下ろす。中で膨らんでいたものが、ぶるんと勢いよく外へ現れて、思わず目を逸らした。暗い中でも、大きくなっているのがよくわかった。
ごそごそと避妊具を付ける手はいつもより慌ただしい。あっという間に準備を終えると、片足を持ち上げられた。スカートの中に隠れていた部分が露わになっていく。自分でもその部分がぐっしょり濡れているのがわかった。
片手で足を、反対の手で腰を掴まれて、彼が体を寄せる。ゴムに覆われた先端が触れた瞬間、寒気にも似た感覚が湧き上がって、お腹の奥が疼いた。鼓動が大きくなる。息を吐いた瞬間、ああ、と声が漏れた。
大きなものが入り込んできて、ぴたりと閉じた中を押し広げていく。苦しいけれど気持ちが良くて、お腹の奥がじいんと痺れた。息を吐く度に、勝手に声が漏れてしまう。
「大丈夫?」
そう聞く彼の声もちょっと苦しそうだ。頷いて返事をすると、やや強引に奥へ入り込む感触がして、苦しさが増した。内側を広げられて、敏感なところをとんと突かれて、それだけでびりっと快感が走った。
「う、あ、っ、やっ……」
快感に押し流されそうになって、爪先にぎゅっと力が籠もる。すごく気持ち良い。でも気持ち良すぎて、怖くて、腰が引けてしまう。それを捕えるように彼の手が腰の辺りに触れて、しっかりと支えられた。
奥の奥まで入り込んで、彼は低く息を吐く。窮屈だった内側がその形を思い出すように馴染んでいく。いつもより大きくて、固くて、少しの身動ぎですら気持ち良くて声が漏れる。
「……やば。あんまりもたない、かも」
「きもち、いい?」
返事の代わりに口を塞がれて、とんとんと奥を優しく突かれた。気持ちいいところに当たるたびに、悲鳴にも似た声が溢れてしまう。震える手でしっかり彼を掴む。すぐ間近で見つめられて、その視線すら快感に変わってしまいそうだった。
「ほんと、可愛い。ずるいくらい、可愛い。好き」
「ん、や、あっ、私も、好きっ」
本当に気持ち良くて、快感に満たされた体が震える。ぐちゅぐちゅと粘っこい水音が聞こえる。自分でもはしたないくらい濡れているのがわかった。
足を掴む手がお腹に触れて、優しく押された。お腹の内側で気持ちいいところが硬く大きなものに押し付けられる。その状態で動いて刺激されると、さっきよりずっと気持ち良くて、頭がちかちかした。
「ひっ、あ、だめっ、それ、やぁっ……」
「すごいね、中、びくびくしてるの、わかる」
「あ、あ、っ、だめ、きもち、いっ……」
段々彼の動きは速くなって、気持ち良いのが大きくなる。再び上り詰めていくのを感じていると、押されたお腹に違う感覚が混じっていく。じわっと温かいような、ちゃぷんと揺れるような、ぞくぞくと疼くような、よく知っている感覚だった。
さっきあんなにいっぱい出したのに、またおしっこがしたくなっていた。おかしい、体が変になってしまったかもしれない。そんなはず無いと否定したくても込み上げる衝動は確かで、だめ、と我慢しようとしても全身は快感を味わうのに必死だ。
「あ、あ、っ、だめ、っ、でちゃうっ……!」
「出ちゃう? おしっこ、まだ残ってたかな」
「ひ、あっ、や、っ、まっ、てぇ……、おしっ、こ、でちゃうっ……!」
「いい、よ。出して。おしっこ見せて」
「やっ、あ、あ、っ、だめ、るり、おしっ、こっ……、ああっ……!」
自分でも何を言っているかわからない。胸の中で生まれた言葉は吐き出す息に乗って、どんどん零れ落ちていた。
気持ち良いのが押し寄せてくる。抗うことは出来ず、びくっと体が跳ねた。お腹の奥がぎゅうっと縮んで、疼いて、中にある硬いものを締め付ける。
頭が真っ白になる。色んな感覚が遠くなっていく中、ぶじゅ、と水音が体の中に響いて、熱さを感じた。じんじん疼いていた出口から、熱いおしっこが押し出される。
まだ彼は私の中にいて、このままだと汚してしまう。駄目、と逃げたかったけれど、彼の手はしっかりと私の腰を掴んで逃してくれない。
「あ、あ、やっ、だめ、おしっこっ……、やぁっ……」
ぶじゅう、と熱いおしっこが溢れて、肌を伝い落ちていく。全身を満たす快感に異なる快感が混ざって、頭がくらくらした。
「……ごめん、俺も、っ……」
「あっ、ん、んん、や、あぁっ……」
腰を掴む手に一段と力が籠もり、彼の先端が何度も奥へと当てられた。達したばかりの内側は敏感で、その刺激はあまりにも強すぎて、あられもない声が出た。突かれる度に、おしっこが溢れて、肌を熱く濡らす。
何度か奥を突かれて、彼は低く息を吐いた。ぎゅうと締め付ける私の内側で、びくりびくりと震えているのがよくわかった。
ふたりで体を寄せて、ただ呼吸を繰り返していた。暗い浴室ではよく見えないけれど、こうして側にいると、服越しでも彼の体温を感じる。力の抜けた指を握り直して、頭を彼の肩へと当てた。
るりは何度か大きく呼吸をした後、ゆっくりと体を引いた。私の内側からずるりと抜けて、その感触に小さく声が漏れてしまう。上げていた足を下ろすと、そのままぎゅうと抱き締められた。
「大丈夫?」
頷いて返事をすると、彼は小さく息を吐く。耳元で息を感じて、それだけで余韻の残った体が少し疼くのがわかった。
「……ほんと、ずるいくらい可愛い」
「そんなこと、ない」
「あるよ。ほんと、可愛い。好き。……おしっこ気持ち良かった?」
その言葉に顔が熱くなる。返事はせずに俯いて顔を隠す。見えていないけれど、彼がにこにこしているのが何故かわかった。
「お風呂、入ろうか。脱がせていい?」
「うん、入る。……服、どうしよう」
見えないけれど、足元には先程脱がされた下着とタイツがあるはずだ。多分スカートも濡れてしまっているけれど、こんな時間から洗濯はできない。
「俺が明日洗うよ。半分は俺のせいだし」
「半分なんだ」
「……駅でトイレに行かないやよいさんも悪いです」
「るりが変なことしなければ、家のトイレに間に合ってたもん」
「隣でもじもじ我慢してるの可愛いし、ずーっとそんな姿を見せられたら、襲いたくもなる」
「ばか。変態。えっち」
「知ってる」
言いながら彼は私の服を脱がしていく。体は疲れでずっしりと重いので、素直に甘えることにした。
「今更だけど、今日の服、可愛い」
それは本当に今更だった上に、その服はまさに今、順番に脱がされている。状況と言動が面白くて笑ってしまったけれど、褒められるのは嬉しかった。
「可愛い?」
「可愛い。今度それで俺とデートしようね」
「うん。……ふふ、嬉しい」
「その顔も可愛い。キスして良い?」
「良い、よ」
優しく口付けられながら、ブラウスのボタンは外されて、袖が腕から抜かれる。寒さ防止のインナーはぴたりと肌に張り付いていて、私の体のラインを顕にしていた。
「……脱がせるの、なんというか、その……結構、くる」
「自分で脱ごうか?」
「やだ、脱がせたい。……もう一回するの、駄目?」
じっと見つめられて、思わず目を逸らす。
「ずっと立ってたから、疲れた」
「……はい。そうだよね。ごめん」
返事の声はあからさまに沈み込んでいた。大きな手は先程までのように悪戯に動くことはなく、素直に私の服を脱がしてくれていた。
先程までの熱さが徐々に落ち着いてきたせいか、寒さを感じた。温まりたかった。体温がまた欲しくなってしまった。
だから。
「……お布団で横になってなら、大丈夫、かも」
逸した目は戻せない。頬が熱くなっていく。見ていなくても、浴室が暗いままでも、彼の表情が明るくなったのがわかった。
「……やーちゃんのそういうとこ、ほんとずるい。可愛い。好き」
何度目かわからない口付けをする。おずおずと顔を上げると、機嫌良さそうに細められた目とぶつかった。
「髪も身体も俺が洗ってあげるから、やーちゃんはゆっくりしてて。お風呂上がったら、ちゃんと布団まで運んであげる」
頷くと、彼の手は再び服を脱がせ始める。少し見つめ合って、恥ずかしくて、でも嬉しくて、ふたりで笑った。
+++
「お風呂お疲れさま。髪、拭いてあげる」
「……う、ん」
「やーちゃん、眠い?」
「ううん……」
「……目、開いてないです、やよいさん。これ、布団に運んだら寝ちゃうでしょ」
「ん、ぅん………」
「……流石に起こせない。あーもう、ずるい。やーちゃんのばか」
「…………」
「疲れさせてごめんね。……おやすみ」
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初出:2023年12月17日(pixiv・サイト同時掲載)
掲載:2023年12月17日