渋滞にはまった車の中のお話。
「渋滞すごいねえ。ユウくん、大丈夫?」
「はい、大丈夫ですよ」
「そっか。あのね、私、トイレ行きたくなっちゃった」
「えっ、大丈夫ですか?」
「まだ大丈夫だよ。でも早くしてほしいよね。動け動けー」
「なぎささん、その、大丈夫ですか」
「うん、まだ平気かな」
「そ、そうですか。あの、えっと、その、」
「ユウくん?」
「あ、いや、何でもないです。早く動くと良いですね」
「うん。長引いてるけど事故かなあ。嫌だねえ」
「結構経ったけどまだ動かないね。何があったのかなあ」
「そうですね。……えっと、なぎささん。その、大丈夫ですか」
「ん、何が?」
「何がって、さっき行きたいって言ってたから」
「ああ、うん、まだ大丈夫だよ。でも早く動いてくれないと我慢できなくなっちゃうかも」
「そ、そうですよね。はやく動いてくれないかな」
「まーだかなあ」
「あの、な、なぎささんっ」
「ん、どうしたの?」
「まだ、平気、ですか?」
「うん、まだ大丈夫」
「そうですか。……その、実は、俺も、ちょっとだけ行きたい、かも」
「ユウくんも? それは大変。まだ我慢できる?」
「だ、大丈夫ですっ。ちょっとだけですから。まだ全然平気です」
「そっか。でも早くしてほしいよね。まだかなあ」
「あ、ちょっと動いた……けど、すぐに止まっちゃった」
「…………うぅ」
「大丈夫?」
「だ、大丈夫ですっ。なぎささんこそ、まだ大丈夫なんですか?」
「うん、まだ大丈夫」
「お、俺も、全然、まだ大丈夫ですから!」
「…………」
「ユウくん、ほんとに大丈夫?」
「だ、だいじょぶですっ……ってか、なぎささんは大丈夫なんですかっ」
「うん、まだ平気」
「なぎささんの方が先に行きたくなったのにっ……」
「個人差があるからね。……ほんとに大丈夫?」
「だいじょぶですっ……けど、結構行きたい、かも」
「ああ、もうっ……、まだ動かないんですかっ……」
「ちょこちょこ動いてるけど、駄目だねえ」
「なんでなぎささん、そんな平気なんですか……!」
「あんまり我慢すると大変だし、しちゃっても良いんだよ?」
「そ、そんなこと言われても、」
「おむつ履いてるんでしょ?」
「は、履いてないっ! 俺、そんないつでもおむつ履いてないです……!」
「あ、そっか」
「俺のことなんだと思ってるんですか……」
「でも、もう結構きついんじゃない?」
「うぅ、まだだいじょぶです、けど、」
「おむつ持ってきたけど、トランクに積んだキャリーバッグの中なんだよね」
「ちゃんと我慢しますから大丈夫ですっ……!」
「ああぁ、もう、トイレトイレトイレ……! まだなんですかっ……!」
「まだみたいだね。ユウくん、ほんとに大丈夫? 道端でしてくる?」
「こんな丸見えのとこでなんて出来ないですっ……」
「じゃあ、そこに携帯トイレ入ってるから使う?」
「それ、俺が使ったら、なぎささんが大変なんじゃ、」
「うーん。サービスエリアまで我慢するか、それこそ道端でしちゃうか、かな。我慢するつもりだけど」
「お、俺も我慢しますっ、」
「無理しないで。これ、レンタカーだからおもらししたら大変だよ?」
「あ、あ、もうといれ、といれといれといれ、おしっこしたいっ……」
「頑張れ頑張れ」
「頑張る、けど、もうほんとにおしっこしたいっ……」
「あ、ちょっと動いたけど、また止まっちゃった」
「うあ、あ、あ、ちょっと出た、かもっ……。やばい、ほんとおしっこ、おしっこもれるっ……」
「おしっこ、おしっこしたいっ……、トイレまだですかっ……」
「まだ、かなあ」
「ああぁっ、おしっこ、おしっこしたいっ……」
「そんな状態だと、サービスエリアについても間に合わないんじゃない?」
「頑張る、けど、おしっこしたいんですっ……!」
「あらあら、そんなところ押さえて」
「だって、だってっ……! ああもう、ほんとにおしっこっ……」
「もうちょっとだと思うけど、大丈夫」
「ううぅ、頑張る、けど、ほんとにといれっ、おしっこしたい、おしっこ、おしっこもれるっ……」
「な、なぎささんっ」
「はい、なあに」
「も、だめ、おしっこ、おしっこでそうっ……」
「あらら。外……と言っても、道の真ん中だから難しいか」
「ああ、あ、ほんとに、おしっこ、ほんとにでそうっ……」
「携帯トイレ、使う?」
「でも、それ使ったら、」
「私はまだ大丈夫だけど、ユウくんは大丈夫なの?」
「でもっ、でもっ」
「我慢出来る?」
「う、あぁ、でもっ、でもっ、」
「大丈夫なら片づけるよ?」
「あ、あ、ま、まってっ、もうむりっ、つかう、使いますっ……! もうおしっこ、むりっ……」
「今用意するから、もうちょっとだけ待ってね」
「ああ、むり、もれる、おしっこでる、はやく、はやくっ」
「はいはい、もうちょっと」
「おしっこっ、おしっこおしっこおしっこっ、ほんとでる、もれる、でる、でるでる、でるっ」
「はい、どうぞ。後ろの席でした方が……ってもう無理か」
「あ、あ、あ、ああ、あ、あぁっ……」
「すごい音。いっぱい我慢したね」
「うあ、あ、あ、あふれそ、ど、どうしたらっ」
「まだ出るの?」
「ま、まだっ、あ、あ、あ、やば、ど、どうしよっ」
「はいはい、二つ目どうぞ」
「う、あ、あっ、は、あぁ……」
「あ、あ、あぶなかった……、ほんとに漏らすかと思った……」
「だから言ったのに」
「だって、なぎささんがトイレ行きたいのに、俺だけ使うなんて……」
「その前にユウくんがおもらししちゃったら意味ないでしょ」
「うう……あの、なぎささんは、大丈夫なんですか」
「結構したいけど、まだ大丈夫かな。あ、動いた」
「なんでなぎささん平気なんだろう……」
+++
「やっとサービスエリアに入ったけど、駐車場空いてないなあ。トイレ行きたいのにー」
「そ、そうですね。どこか、はやく、」
「ユウくん、またおしっこ?」
「ま、またって言わないでくださいっ……!」
「我慢しすぎたのかな。先に降りて行ってくる?」
「大丈夫です、ちゃんと我慢しますっ……」
「あ、ここ停めれる。ユウくん、大丈夫?」
「大丈夫ですっ……」
「よいしょっと。さて、トイレ何処かなあ」
「なぎささん、その、平気なんですか」
「ん? 結構行きたいよ」
「そんな普通にしてられるんだろう……」
「ユウくんは大丈夫?」
「大丈夫です、まだ全然大丈夫ですからっ」
「それなら私がおトイレ終わるまで鞄持って待っててくれる?」
「な、なんでそんな意地悪なこと言うんですかっ……」
「ふふ、嘘つくからだよ。ほんとは?」
「……ものすごく行きたいです」
「正直でよろしい」
「ああ、言ってたらどんどん行きたくなってきた。トイレどこ……」
「あ、トイレあった。すごい行列」
「なんでこんなに並んでるんだ……!」
「大丈夫?」
「が、がんばるっ……」
「もししちゃったら連絡してね。着替え、持ってきてあげる」
「ちゃんと我慢するから大丈夫ですっ……!」
「ああ、もう、なんで男の方までこんなに並んでるんだっ……」
「でも女性側の方がすごい列だ。なぎささん、平気な顔して並んでるけど、大丈夫なのかな」
「もうすぐ、もうちょっと。ああもう、なんでさっきしたのに、またしたくなるんだ……!」
「トイレが見えたら、すっごくしたくなってきたっ……。はやく、はやくっ」
「やばいやばいやばい、ああほんとやばい、おしっこしたい、はやくはやくはやくっ」
「うあ、あ、やばいやばいやばい、押さえたいけど流石に人前じゃっ……。
けど、ああほんとでそうっ……はやくっ」
「あとひとり、ひとり、あとちょっとっ。ああ、でる、でるでるでる、おしっこでるっ。
はやく、おねがいだからはやくっ、もうでる、ほんとにでるから、たのむからはやくっ」
「空いた、お、おしっこ、おしっこっ……!
うあ、あ、やば、でる、まって、まってまって、まだ、あ、あ、で、ああ、ああぁっ……!」
「はっ、あ、危なかった……やばい、すごいでる、とまんない……」
「ぎりぎりせーふ、とか、さっき済ませたのに。こんなにトイレ近くないはずなのに。
……なぎささん、あんなに長時間我慢して、なんで平気なんだろう」
「お待たせ。大丈夫だった?」
「ちゃんと間に合いましたっ! なぎささんこそ間に合ったんですか」
「うん、でも結構ぎりぎりだったよ。ユウくんと一緒だね」
「俺はぎりぎりな時に、なぎささんみたいに余裕持てないです……」
「お腹空いたし、ご飯食べて、休憩したらまた出発しようか」
「そうですね。次は俺が運転します」
「わ、嬉しい。ありがとね」
「いえ、それくらいは」
「買い物もしておかないと。携帯トイレ売ってるかな」
「え、いや、もう流石に大丈夫だと思う、んです、けど」
「そう? じゃあ買わないでおく?」
「う……念のために買いましょう。念のために」
「はいはい。あ、そうだ」
「なんですか?」
「おむつに履き替えておく? 運転中は携帯トイレ使いづらいでしょ?」
「流石にもう大丈夫だと思う、けど」
「けど?」
「念のために、履いておきます。ほんとに念のため」
「ふふ、はいはい。念のため、ね」
それからしばらくして。
「えっと、大丈夫? 運転代わろうか?」
「ううううぅっ……なんで今日はこんなに近いんだっ……」
「お昼にお水飲みすぎたんじゃない?」
「だって、カレー、すっごく辛かったんですもんっ」
「よしよし。今度はおむつ履いてるんだから、しちゃっても大丈夫だからね」
「ちゃ、ちゃんと我慢しますっ、けど、次のサービスエリア寄ってくださいっ……」
「はいはい、無理しすぎないでね」
「見えてきたよ? 大丈夫?」
「だいじょぶです、けど、もれそうっ……」
「もうちょっとだ。頑張れ頑張れ」
「ああぁ、はやくはやくっ、もれる、おしっこもれるっ……」
「よし、車を止めて、と。大丈夫?」
「と、トイレどこですかぁっ……!」
「どこだろう。あっちかな」
「ああぁっ、もうやばいっ、おしっこでそうっ……!」
「ああ、ほら、一緒に探してあげるから、頑張って」
「あれ、ないなあ。お店の中かな」
「な、なぎささん、ほんとにやばい、もうでそうっ……」
「もうちょっとだけ頑張って。お店の中見てきてあげる。ここで待ってる?」
「ま、待ってるっ、ほんと、ほんとはやくっ、おしっこしたいっ……」
「お待たせ、向こうの端にあるみたい……って、大丈夫?」
「な、なぎささんっ、もうむり、おしっこでるっ……」
「トイレあっちにあるけど、歩ける?」
「むり、もうむりっ……!」
「仕方ない。せめてお店の裏に回ろうか。もうちょっとだけ頑張って」
「ああ、でる、おしっこでる、でるっ」
「もうちょっとだよ。ほら頑張って」
「ああ、あ、で、でる、あ、あ、あぁぁっ……」
「ああもう、そんなところ押さえちゃって。早くこっちおいで」
「な、なぎささんっ、もうむりっ、おしっこっ、おしっこでるっ」
「わかってるよ。こっちなら人がいないから、こっちおいで」
「あ、あ、でる、でる、でる、おしっこ、おしっこでるっ」
「よしよし、もう我慢できない?」
「もうむり、も、あ、ちょっとでたっ、あ、あ、あ、」
「あらら。おむつしててよかったね」
「で、でてる、な、なぎささんっ、おしっこ、でる、でるっ」
「良いよ。よく頑張りました。出してごらん」
「ああ、あ、おしっこ、おしっこっ、」
「すごいね。じゅおーって、ここでも聞こえる」
「は、あ、あぁ、やばっ、おしっこ、きもちい、」
「たくさん出るね。溢れないかな」
「お、おしっこ、とまんな、」
「溢れちゃったら着替え持ってきてあげるから、全部出しちゃいなさい」
「うああ、ほんとにとまんない、なんで、こんな、」
「さっきしたばっかりなのに、すごいねえ」
「い、言わないでくださいっ、ほんとになんでこんなにっ……」
「うあ、あ、お、終わりました、」
「よしよし。おしっこ出来てえらいね」
「えらくないですっ……! 今日変です、普段こんなに近くないし、こんなにしないのにっ、」
「そうかな。私の知ってるユウくんは割とこんな感じだけど」
「う、意地悪言わないでください……」
「車に戻ろうか。歩ける?」
「はい……う、すごいたぷたぷしてるし、まだ、」
「まだ出る?」
「ち、違います、まだ吸収してなくて、ちゃぷちゃぷしてて、気持ち悪い」
「ふふ、車の中で替えてあげるね」
「後部座席なら着替えても見えないと思うよ。狭いけど大丈夫?」
「な、なんとか……ってか、なにしてるんですか」
「お手伝いしようかと。ジーンズ脱いで、はい御開帳」
「ちょっ、」
「わあ、すごい。ほんとにいっぱい出たね。溢れるギリギリかな」
「あんまり見ないでください……!」
「今さらだと思うけどなあ」
「どっちに着替える? 普通の下着? それともおむつ?」
「う、そ、それは、その、」
「もうそろそろつくと思うから、下着にしておく?」
「う、あ、その、えっと」
「おトイレ心配ならおむつかな。普段はあんまり近くないんだっけ?」
「う、い、意地悪……。お、おむ、つ、で」
「もう一回」
「聞こえてるくせにっ……! お、おむつでっ! ね、念のためにですっ! レンタカー汚すわけにいかないですし!」
「ふふ、可愛いなあほんと」
「可愛くないですっ……! ああ、もうほんと、恥ずかしくて消えたい……」
「そんなこと言わないの。はい、足上げて」
「なんかどっと疲れた気がします」
「ふふ、よく頑張りました。残りは運転するから、少し寝てても良いよ」
「そんな、運転ほぼ任せっぱなしだし、悪いです」
「大丈夫、割と運転好きだから。ゆっくりしてて」
「じゃあお言葉に甘えて少し寝ます」
「うん、わかった。おやすみ。おむつしてるからっておねしょしちゃだめだよ?」
「し、しないですっ! なんでそんな意地悪ばっかり……!」
「ふふ、ごめんごめん。おやすみ」
「もう……。おやすみなさい」
「おやすみ」
「…………」
「ほんとにおねしょするとは思わなかった。おむつしてて良かったね」
「い、言わないでくださいっ……! ああもうやだ、ほんと消えたい……」
「そんなこと言わないの。後でおむつ替えてあげるから」
「うあぁ、もうほんと最悪だっ、なんで、なんで俺こんなっ……」
「我慢しすぎてお腹がびっくりしたのかもね。大丈夫だから泣かない泣かない」
「泣いてないですっ……!」
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初出: 2018年9月28日(pixiv) 掲載:2022年7月30日