変わらないから癖という 大スカ編

 さようならの挨拶が終わったら、すぐにリュックを背負って教室を飛び出した。転びそうになりながら階段を下りて、靴を履き替えて、学校の外へ飛び出す。手が自然とシャツの上からお腹を撫でていた。
 歩き慣れた通学路を速足で進む。焦る気持ちとは裏腹に、前に進んでいる気が全くしない。足を動かすたびに、その付け根にずっしりと重い物を感じた。

 給食を食べ終えた後くらいから、嫌な気持ち悪さを感じていた。それは時間と共に増していて、お腹がぐるぐると動いている。お腹が唸るのを誤魔化し続けて、もうどれくらい経っただろう。
 ああ、はやく! どうしてこんなことになってるんだろう。嫌になりながらもとにかく足を動かす。あと少し、もうちょっと。前に進むにつれて、纏わりついた感覚はどんどん強くなっていく。

 ああ、だめ、お腹が苦しい、……うんち、したい。学校で催してしまったのは最悪としか言いようが無かった。午後の授業なんてなんにも頭に入っていなくて、はやく家に帰りたいとばかり考えていた。
 勿論、学校にもトイレはあるけれど、個室は絶対に使えない。誰かに見つかったら揶揄われる。だから我慢するしかなかった。

 出口の寸前にずっしりしたものが押し寄せている。ぶ、とお尻からおならが漏れて、つんと鼻に突く強いにおいがした。恥ずかしくなったけれど、歩くたびにガスが漏れてしまう。お尻の穴がひくひく動くたびに、すぐそこまで押し寄せたうんちの存在を感じた。
 ああ、だめ、うんちしたいっ、はやくはやくはやくっ……! はあはあと息が荒くなる。うんちを我慢することだけを考えて、とにかく前に進んだ。
 はやく帰りたい、はやく家のトイレに行きたい、うんちがしたい。思いっきり息んで、この塊をはやく出したい。生理的な欲求が全身を支配していて、それに抗う辛さに涙が滲んだ。

 角を曲がると、やっと家が見えた。あと少しだと気が緩む。その瞬間、お尻がひくひくして、内側にあったずっしりした塊が這い出てくるのを感じた。
 あ、あ、あ、だめっ……! 咄嗟にズボンの上からお尻を押さえる。けれど、窄んだ出口は押し広げられて、塊の先端を覗かせてしまっていた。
 あ、あ、あ、だめ、うんちでるっ……! お尻に感じる異物感に身震いする。変に力を入れることもできず、ぎくしゃくと変な動きで足を一歩前に動かした。これ以上うんちが出ないようにすることが最優先だった。

 といれといれといれ、はやくといれ、うんち、はやく。足を動かすと、ぷす、とおならが漏れた。先程よりも濃いにおいが鼻を突く。お尻の間には固い塊があった。だめ、でる、でちゃう、はやくといれ、うんちしたい、あとちょっとだからっ……!
 お尻を押さえたまま、よたよたと歩く。家まであと少し。すぐそこに見えている。あとちょっとだ。玄関に近付く。震える手を伸ばす。
 扉を開けようとしたけれど、その手はお尻の方に逆戻りした。玄関の扉を掴んだ瞬間、お尻の穴がぐわっと開いた。

「っあ、あ、だめ、あ、あぁ……!」
 先端を覗かせていたうんちがそのままずるずるっと溢れ出てきて、下着の中にべちゃっと落ちた。ズボンがずっしり重くなる。ずっとお尻のすぐそこにあった異物感が消えて、ぞくぞくっと快感が全身に走った。
 気持ち良かったのは一瞬だけだった。さっきまでの気持ち悪さもお腹の重さも消え去っていて、代わりに下着がずっしり重くなっていた。
 あ、あ、あ、で、ちゃった。うんち、でた。頭が真っ白になる。ど、どうしよう、うんち、でちゃった。ここまで我慢したのに、あとちょっとだったのに。じわりと涙が浮かぶ。やっちゃった、間に合わなかった、うんち、おもらししちゃった。

 そのまま立ち尽くしている訳にもいかず、とにかく家の中に入った。足を動かす度に下着の中のうんちがお尻に触れて、とても気持ち悪い。
 誰にも見つからないように処理したかったけれど、その希望は一瞬で消えた。お母さんは廊下にいて、帰ってきた僕に気付くと玄関まで来てくれた。
「おかえり。学校どうだった?」
 何か誤魔化そうと思ったけれど、何も言葉が出てこない。お母さんの顔を見ると安心して、目からは涙がぼろぼろ零れてきた。
 玄関で立ち尽くしたまま、わんわんと泣くことしか出来なかった。僕の様子に母は慌てたけれど、何があったかすぐに気付いたようで、そのままお風呂場へ連れていかれた。

 脱衣所でズボンを脱ぐ。下着の中でうんちは重くて、お尻にべとりと触れているのが気持ち悪かった。ゆっくり下着を下ろしていくと、こんもりと溜まったうんちの塊が見えた。
「行きたくなったら、学校でもちゃんと行かないと駄目よ」
 着替えを用意しながらお母さんは言う。そんなことはわかっているけれど、そういう訳にはいかない。学校のトイレを使うわけには行かないし、外のトイレはあまり綺麗じゃないことが多いから使いたくない。できることなら家まで我慢したい。
「誰だってすることなんだから。漏らしちゃう方が恥ずかしいでしょう?」
 わかってる。わかってるけど。言いたいことはあったけれど、お母さんの言葉に返事はせずに、お風呂場の扉を閉めた。

+++

 自転車に跨り、校門を出る。慣れた景色を見ながら、必死に足を動かしていた。前の籠に乗せた鞄は教科書を詰め込んだからか重くて、ハンドルが取られそうで少し怖かった。
 はあ、と息を吐く。間に合うかと思った信号は赤に変わってしまい、仕方なく足を下ろした。
 信号を見つめながら、お尻を動かしてしまう。サドルに擦り付けるようにすると、少しだけ落ち着く。じっとしていたかったけれど、そうでもして気を紛らわせないと苦しくて仕方なかった。

 昼食後の授業中、お尻がむずむずする嫌な感覚がし始めた。ずっしりと重い物が下りてきているのがわかる。授業中だというのもあり、じっと我慢しているとお腹は落ち着いた。
 休み時間になっても何ともなかったので、さっきのは気のせいだと思った。けれど、それは次の授業中に再び戻ってきた。波が引いては押し返すように、気持ち悪さは更に強くなっていた。固い椅子の上で必死にその衝動に抗っていた。
 この授業が終われば帰れる。その前にトイレに寄ろうかと考えたけれど、学校のトイレはあまり使いたくなかった。小学生の頃のように、個室に入っているからと言ってからかわれることはないだろうけれど、あまり綺麗ではないので出来れば近付きたくなかった。
 冷や汗が背中を伝う。お腹が気持ち悪い。ぐるぐる音となく唸って、お尻に重い塊が押し寄せている。必死に我慢を繰り返して、何とか放課後を迎えることが出来た。

 信号が青に変わる。すぐに走り出したけれど、出口のすぐそこにずっしりした存在を感じた。普段から便秘気味なのであまり気にしていなかったが、そういえば数日出ていない。嫌な感触に背中がぞわぞわする。はあ、と溜息が漏れた。
 お尻がむずむずする。おならが出そうな感じがしたので我慢していたけれど、僅かな段差で体が揺れた瞬間、ぶす、とガスが零れた。
 くぐもった音が聞こえて、恥ずかしさに顔が赤くなる。けれど、お腹に溜まったガスは次から次に溢れて止まらない。ぶ、ぶす、とガスが漏れるにつれて、その奥にあった固く重い塊が徐々に動いているのがわかった。
 ああ、やだ、トイレ行きたいっ……。どこかでトイレを借りることを何度も考えたけれど、公園にトイレは無いし、コンビニも見当たらない。だからといって、その辺の民家に貸してくださいなんて言う勇気はない。
 とにかく家まで我慢しないとい。お腹がごろごろ動いて、おならが漏れるのを止められない。出口のすぐそこまで押し寄せた異物感に身を震わせながら、とにかくペダルを漕いだ。

 もう少し、あとちょっと。必死に我慢しながら自転車を走らせる。お腹が気持ち悪い。ああ、トイレ行きたい、……うんちしたい。お尻がむずむずする。思いっきり息んで出したら気持ち良いだろうな。そんなことばかり考えてしまう。
 トイレ、トイレ、トイレっ。ハンドルを堅く握って、とにかく足を動かす。はやく家に帰りたい。そう思いながら角を曲がった時、自転車の前籠から何かが落ちるのが見えた。咄嗟にブレーキを掛けて、自転車を止める。振り向くと、鞄のポケットに入れていた学生証が道に落ちていた。
 ああもう、なんでこんな時にっ……! 慌てて自転車を止めて、取りに向かう。お尻がサドルから離れると、押さえを無くなった出口がひくひく疼く。
 あ、あ、だめ、うんち、っ……! 咄嗟に、疼くお尻の真ん中をズボンの上から押さえる。数日出なかった大量のうんちが押し寄せている。お腹が音もなく動いているのがわかる。

 あああ、やだ、トイレ行きたい、うんち出したいっ……! は、は、と呼吸を繰り返して、必死に波に抗う。少し向こうに落ちた学生証をぼんやりした視界で眺めていた。
 取りにいかないといけないけれど、今動いたら、出てしまう。お尻を押さえた中腰の体勢のまま、込み上げる衝動に必死に抗う。
 どうしよう、トイレ、うんちっ……! その辺の家でトイレを借りようかと本気で考えた。トイレトイレトイレ、何でも良いからトイレ。うんちを出したくてたまらない。
 細い呼吸を繰り返していると、少しだけ波が収まった。お尻を押さえた体勢のまま、よたよた歩いて、何とか学生証を拾い上げた。

 自転車のところに戻って、鞄に学生証をしまう。それから自転車に跨ろうとしたけれど、また強い波が押し寄せてきて、そのまま動けなくなった。
 萎んだ出口が内側から抉じ開けられそうになって、ひくひくしている。お腹が動いて、数日間溜め込んだものを出口へ向かって運び出している。
 あ、あ、だめ、うんちしたい、うんちっ……! お尻をぎゅうと押さえて、体を捩って衝動を誤魔化す。うあ、出る、出る出る出る出る、うんち出る、だめ、だめ、だめっ……!

 ぶっ、とおならが漏れて、それと同時に固い塊がお尻の穴をこじ開けた。押さえる指先に歪な感触が伝わる。あ、あ、だめ、あっ……! うんちの先端が顔を覗かせる。駄目なのに、我慢しないといけないのに、ゆっくりゆっくりと這いずり出てくる。
「あ、あ、あっ、あっ……!」
 膝ががくがく震える。出る、出る出る出る、うんちっ、あ、あ、ああっ……! 膝ががくりと折れるのと同時に、咄嗟にズボンと下着を掴んで、思いっきり引きずり下ろした。間髪を入れず、露わになったお尻からは固い塊がずるずると溢れ出してきた。

 数日間溜まっていたうんちは太くて硬いけれど、息む必要もなく一気に出てきた。生理的な快感に背筋が痺れる。解放感と気持ち良さに頭の芯がじいんと痺れた。
 まだお腹の気持ち悪さは残っている。体の欲求に任せて息むと、さらにもう一回、先程よりも柔らかい物がみちみちと音を立てて出てきた。途切れずにずるずると長さを伸ばし、最後の部分がお尻から飛び出した。

 心臓がばくばくと高鳴っていた。全身が爽快感に包まれていて、はーと思わず長い溜息をついていた。先程までの気持ち悪さや焦燥感はどこにもない。ただ快感だけが頭を支配している。お尻の穴は余韻でひくひくと収縮を繰り返していた。
 ……あぁ、うんち、出た。……気持ち良かった……。ここが通学路の途中だということは完全に忘れて、ただ解放感と爽快感に痺れていた。
 しばらくそのまましゃがみ込んでいたけれど、つんと鼻に突くにおいに我に返る。はっとして足元を見ると、野太いうんちが二本、アスファルトの上に横たわっていた。
 その大きさと量に頬が熱くなる。こんなに我慢していたとは思わなかった。慌てて膝を伸ばしながら、廻りを見回した。運が良いことに人の気配はしなかった。

 慌てて鞄からティッシュを取り出し、お尻を拭いて、下着とズボンを履き直した。そしてすぐに自転車に跨り、逃げるようにその場を後にした。
 先程までとは違い、体が驚くほど軽い。すっきりした、と心の底から感じていた。残してきたものを考えると頬が熱くなるが、どうすることも出来ない。とにかく早く帰ろうと、自転車のペダルを漕いで速度を上げた。

+++

 英文を書き写す手が止まる。窓の外は真っ暗で、デスクライトが自分の手元を照らしていた。どうも集中が切れてしまったようで、目が文章の上を滑ってしまう。仕方なく握っていたシャーペンを置いて、ぐうっと伸びをした。
 机上に置いていた水を飲み干す。夜は静かすぎて、何の物音もしなかった。

 頑張らないといけないとわかっているのに、どうも集中できなかった。受験日が近づいてきたことで無意識に焦りやストレスを感じているのかもしれない。そのせいで体にも色々と不調が出ていた。
 伸びをした後、手は自然とお腹の上に乗った。へその下辺りからぽこりと膨れたその部分をそっと擦る。最後に出したのはいつだったか。元々便秘がちだったものの、最近は更にひどくなっていた。
 気持ち悪さと気怠さが体に纏わりついていた。早く解放されたいけれど、何度トイレに行っても溜まった物は出てくれなかった。これ以上続くようなら、薬か何かに頼らないといけないかもしれない。それは嫌だなと思いながら、お腹を撫でた。
 水を飲み干したものの、まだ喉が渇いていた。台所に行けば麦茶くらいはあるだろうが、そういう気分ではなかった。気分転換にコンビニでも行こうと、ポケットに財布と携帯、鍵を突っ込んで部屋を出た。

 深夜の道はしんと静かだ。時折、空き地に茂った雑草が風で揺れる音がする。コンビニまでは片道十分程度で、気分転換の散歩にはちょうど良い距離だった。
 少し歩くと、向こうにコンビニの明かりが見え始める。何を飲もうかと考えていると、お腹が鈍く痛み始めた。体が冷えたせいかと思って服の上からお腹を擦るが、収まるどころか段々と増していく。鈍い痛みと気持ち悪い感触が腰のあたりに広がっていた。よく知っている感覚に、思わず眉を顰めた。

 トイレに行きたい。それも大きい方。来てほしいとは思っていたものの、まさかこんなタイミングで催すとは思わなかった。歩いて体が刺激されたからだろうか。
 薄いTシャツの上からお腹を撫でながら、コンビニに辿り着いた。明々と照らされた店内で、飲料のところに進む。途中、奥にトイレがあるのが見えた。
 一瞬、借りようかと思ったけれど、そのまま通り過ぎた。腹の痛みは鈍く纏わりついているけれど、まだ我慢できそうだ。いくら清掃されているとは言え、外のトイレはあまり使いたくない。お腹にずっしりと圧し掛かる嫌な感覚を誤魔化しながら、コーラを一本手に取って、会計を済ませた。

 やや肌寒い夜道を、先程買ったコーラを飲みながら歩いていく。お腹には鈍い痛みがずっとあって、出口の辺りに固い塊の存在を感じた。
 早く帰ろう。嫌な衝動に背中を押されて、自然と早足になった。これでやっと便秘から解放されそうだ。お腹を撫でながら、人ひとりいない道をとぼとぼと歩いた。
 家まであと半分程となったあたりで、お腹が一際動き出した。痛みが増し、鈍い気持ち悪さが押し寄せる。途端に出口に重い物が押し寄せてくるのがわかった。
 ああ、やばい、どうしよう、すごくトイレ行きたいっ……! こんなことならコンビニで済ませれば良かった。振り向くと、真っ暗な夜道に明かりがぽつんと見えた。

 コンビニに引き返すべきか、それともこのまま自宅へ急ぐべきか。悩んでいる間にもお腹は活発に動き始める。あれだけ頑張っても出なかったのに、今は出したくて仕方なかった。
 ぶす、とおならが漏れて、つんと鼻に突くにおいを感じた。ああ、もう、トイレっ……。考えて、戻るより帰った方が早いはずだと思い、自宅へ向かって足を動かした。
 一歩進む度にガスが漏れる。出口のすぐそばにずっしりと重たいものが存在しているのを嫌という程感じた。

 辺りに人の気配は無かった。田舎道には何もなく、ただ雑草が生えた空き地が不気味に佇んでいるだけだ。ぶ、ぶす、と出口からはひっきりなしにガスが漏れる。その度に出口に掛かる重みが増していくようだった。
 は、は、と呼吸を繰り返しながら、足を動かすけれど、遠くに見える自宅になかなか近付かない。それなのにお腹の中は火が付いたように暴れていて、数日間溜まったものを外へ出そうと荒れ狂っている。

 ぐるるる、とお腹が唸る。何度目かのおならが漏れる。窄んだ出口がガスを吐き出す瞬間、固い塊が内側から押し広げて頭を出してしまって、思わず足が止まった。
 あ、ああ、やばい、だめ、うんちっ……! そのまま息んでしまいたい体の欲求に必死に抗うけれど、もう我慢も限界だった。
 出したくて出したくてたまらない。トイレ、何でも良いからトイレ。今からでもコンビニに引き返そうかと思ったけれど、明かりは遙か遠くに見える。自宅の方が近いけれど、それも全然近付いているようには感じない。

 はやくはやくはやくっ。震える足を踏み出したけれど、抉じ開けられた出口からは先端が顔を覗かせたままで、嫌な異物感を感じた。あああ、だめ、トイレ、うんちしたい、出したい、トイレぇっ……! 寒気にも似た感触が広がって肌に張り付く。辺りを見回すけれど、明かりの消えた民家か真っ暗な空き地しかない。
 お腹痛いっ、出したい、うんちしたいっ……! 他の事は欠片も考えられなかった。心臓がばくばく高鳴っていた。ああ、どうしよう、トイレ、うんちっ、うんちっ……! 泣きそうになりながら辺りを見回す。背の高い雑草に覆われた空き地が目に入った瞬間、考えるよりも先に体が動いていた。

 お尻を突き出した体勢で、よたよたと足を動かす。その間にも両手はズボンと下着を一緒に掴んでいた。一足先に体がその後の展開を把握して、その準備を始めるように勝手に動く。頭を覗かせていた先端は更に押し出されて、下着を少し持ち上げた。
「あっ、あっ、あっ……!」
 静かな夜に千切れた声が小さく響く。伸びきった雑草を踏み倒しながら、空き地の中へと進んだ。一歩、二歩、三歩。辺りを見回して、誰もいないことを確認しながら、ズボンと下着を一気に引きずりおろした。
 露わになったお尻は既に排泄の瞬間を待ちきれず、その先端を吐き出し始めていた。冷たい空気に触れたお尻がぴくりと震える。息む必要はなかった。

「……んはぁっ……!」
 既に飛び出していた先端がずるずると伸びる。出口が内側から思いっ切り押し広げられる感触に、固く大きな塊が一気に走り抜けていく触感に、思わず声が漏れた。
 膝を曲げるより先に、我慢していたうんちは勢いよく飛び出して、足元の雑草を薙ぎ倒して地面に落ちた。
 その気持ち良さに背筋が震えていると、お腹がまたぐるぐると動き出す。何日も出なかった物はまだお腹に残っているようだ。震える膝を折って、和式トイレを使うときのようにしゃがみ込んだ。
 少し息むと、窄んだ出口が押し広げられて、再び固いうんちが頭を出した。そのままずるずると伸びて、べちゃっと地面に落ちる。二度では収まらず、三度目もそうして吐き出すと、お腹の疼きはやっと収まった。

 お尻を出してしゃがみ込んだまま、呼吸を繰り返す。お尻の穴はまだひくひくしていた。
 ……ああ、すっきりした、気持ち良かった……。頭の中は排泄の快感一色で、痺れたようにぼんやりしていた。寒さか余韻か、体がぶるりと震える。はー、と長く息を吐いた。
 それから、空き地の真ん中にしゃがみ込んでいる事を思い出して、慌てて膝を伸ばした。足元には野太くごつごつしたうんちが三つ、雑草を下敷きにして折り重なっている。その量に冷えた頬がかあっと熱くなった。
 ポケットに入れっぱなしのティッシュを思い出して、もぞもぞとお尻を拭く。慌ててズボンと下着を履くと、逃げるように空き地を出た。
 そのまま早足で進むと、遠くに感じていた自宅まではあっという間に辿り着いた。たったこれだけの距離を我慢できなかったということに、また恥ずかしさが込み上げた。

 自室に戻り、とりあえず机の前に座る。開きっぱなしの本に目を向けたけれど、頭には何も入ってこない。すぐに諦めてベッドに潜り込んだ。
 昨日までの気持ち悪さが嘘のように体がすっきりしていた。歪に膨らんでいた下腹部もぺたんとへこんでいる。良かったと思う反面、先程のことが頭から離れない。何度も溜息をつき、寝返りを繰り返して、やっと眠りにつくことが出来た。

 +++

 水音が狭い個室に響く。アルコールで意識が程よくぼんやりしていた。膀胱を膨らませていたおしっこを出し切り、はあ、と息を付く。
 今日はよく食べ、よく飲んだ。そろそろお開きだろうとトイレに立ったのは自分だけではなく、この個室前には数人が列を作っていた。早く出ないといけない。ズボンの前を正しながら、そう思ったけれど、お腹の内側がぐるぐると嫌に動いているのを感じた。
 正直に言うと、少し前から催してはいた。本当ならこのまま済ませてしまいたいけれど、この居酒屋にはトイレがこの一つしかない。数人が待っているとわかっている状況で、長時間占領する度胸は無かった。
 有難いことにそこまで切羽詰まっている訳でも無いので、鈍い痛みは気付かないふりをして、手を洗った。外に出ると、同僚が間髪を入れずに中に飛び込んでいった。
 席に戻って残ったビールを煽る。トイレ待ちで人数が減ったものの、また新たな話題が出ていて更に盛り上がりを見せていた。そこに混ざっていきながら、これはお開きまでもう少し掛かりそうだなと思った。

 お会計を済ませた上司にお礼を言い、皆でぞろぞろと駅に向かう。夜の冷たい空気に体がぶるりと震えた。腕時計を見る限り、結局あの後から一時間程は飲みながら喋っていたようだった。
 駅に着くと、皆が自分の使う路線にばらばらと向かっていく。俺と同じ方向に帰る人はいないようで、一人ぽつんとエスカレーターに乗った。上へと運ばれていく中、再び体がぶるりと震える。一度空にしたはずの下腹部は再び重くなっていて、ぞわぞわと嫌な悪寒を覚えた。

 店を出る前にもう一度トイレに寄るべきだったかもしれない。エスカレーターから降りながら辺りを見回した時、ちょうどホームに電車が到着した。
 終電も近い時間、これを逃すと次はかなり待たされそうだ。本当ならトイレに行ってから乗りたかったが、早く帰れるならその方が良い。
 電車に乗り込むと、すぐに扉が閉まった。向かいのホームに、先程まで飲んでいた同僚が数人いるのが窓越しに見えた。

 規則正しく電車が揺れる。椅子に座りながら、落ち着かない気持ちを外の景色を眺めて誤魔化していた。
 ぞわぞわと嫌な感覚が腰のあたりに纏わりついている。誤魔化すように足が自然と揺れていた。家まで我慢できると先程まで思っていたのが嘘のように、嫌な衝動がどんどん強くなっていく。静かに息を吐いて、周りを見回す。乗客がほとんどいないのはせめてもの救いだった。
 はやくはやくはやく。乗り込んだのは各駅停車なので、最寄り駅まではそれなりに掛かる。呼吸を繰り返し、窓の外を見て、とにかく気を紛らわす。たっぷり飲んだアルコールは全身を回って、下腹部にどんどん流れ込んでいるようだった。

 ああ、はやく、トイレ行きたい。スマホを手に持ってみたものの、全く集中できず、すぐポケットに閉まった。そうこうしているうちに、次の駅に到着して、扉が開く。
 駅のホームは薄暗く、乗り降りする人は殆どいない。それなのに扉はなかなか閉まらず、もたもたする様子に苛立ちが募った。

 呼吸を繰り返す。内側から込み上げる感覚はどんどん強くなっていく。誤魔化すための足の揺れも大きくなっていた。
 ぶるり、と体が震えて、下腹部がきゅうと疼く感触が広がる。先端に向かって熱いものが押し寄せてきて、思わず体を堅くした。まずい、トイレ、行きたいっ。すべての意識が出口に向かい、呼吸さえできない。じわじわ押し寄せる波に必死に抗う。そうしていると波は少しだけ収まり、静かに息を付いた。
 どうしよう、トイレ……。こんなことなら店を出る前にトイレに行けば良かった。一本見送ってでもトイレに寄れば良かった。横長の座席の端っこに座り、呼吸を繰り返しながら嫌な衝動を必死に我慢する。ズボンの内側では下腹部がぽっこりと膨らんでいた。

 そうやって二駅やり過ごした時だった。もう満水状態の膀胱に加えて、下腹部を膨らましているもう一つの存在を体が思い出したかのようだった。
 居酒屋のトイレで一度やり過ごした波が再び押し寄せる。ぐるるる、とお腹が音もなく唸るのがわかって、思わず手でお腹を押さえた。
 痛みと気持ち悪さを混ぜたような感覚。お尻にずっしりと固く重い物が押し寄せる。ひくひく疼く出口から、ぶすとガスが漏れた。ああ、いや、だっ、なんで、どうして今っ……! 一度は落ち着いたはずなのに、引いた波が更に強まって押し寄せてくる。背中に嫌な汗が伝った。

 と、いれっ……おしっこしたい、あああ、うんちしたいっ……! ぶ、ぶす、と座席の上でおならが音もなく漏れ続ける。ひくひく疼く出口のすぐそばに塊の存在を感じた。
 数日間、お腹の中でとどまっていたものが出口に向かって運ばれていく。何とか収まらないかとシャツの上から張ったお腹を撫でてみるものの、波は全然収まらない。我慢、我慢と頭の中で繰り返す。冷や汗が額を伝った。ぼんやりした視界の隅で、電車の扉が閉まるのが見えた。
 あと何駅だろう。窓の外を流れる景色の中で駅名の看板を探すと、最寄り駅まであと三か四駅だとわかった。それくらいならなんとかなる、だろうか。微かな希望に一瞬だけ眼の前が明るくなったが、荒れ狂う生理現象にすぐに引き戻された。

 ぐるぐるとお腹が音もなく唸る。同時に、満水まで詰め込まれた膀胱がじんじんと疼いていた。ああ、おしっこ、うんち、ああああ、といれ……っ!
 大きな波が頭のてっぺんから爪先まで駆け抜ける。全身がぶるりと身震いして、ぱつぱつの膀胱がきゅうと縮んだ。
 破裂寸前の水風船が、中身を出口に向かって押し出す。先端に向かって熱い液体が満たされて行き、固く閉じた出口をこじ開けて、じゅう、と溢れた。

 咄嗟にズボンの上から片手で出口を塞いだ。うまく呼吸が出来ない。必死に息をしながら、外を見る。電車はなかなか止まらない。
 はやくはやくはやくっ、おねがい、トイレ行かせて、出る、出る出る出る出る、もれる、もれちゃうからはやくっ……!
 ズボンの上から、出口をぎゅうぎゅう揉んで、今にも溢れそうなおしっこを必死に我慢する。同時に、ひくひくと疼くお尻の穴が開いてしまいそうなのを必死に堪えていた。トイレトイレトイレ、何でも良いからトイレっ、おしっこ、うんち、トイレ行かせて、でる、でる、でるっ……!

 座ったまま前かがみになって、荒れ狂う波に必死に抗う。辛い、苦しい、出したくて出したくてたまらない。生理的な欲求に身を任せてしまいたいのを泣きそうになりながら堪える。
 今、どこ。顔を上げると、電車はゆっくりと速度を落としていく。窓の向こうに見えた駅名は最寄り駅ではない。最寄り駅は次の駅。あと一駅我慢すれば。あと、一駅。たった一駅だ。
 ぶるりと体がひとりでに身震いした。破裂寸前の膀胱が中身を押し出す。ぎゅうぎゅうと揉む手の中で、出口から熱い液体がじゅううっと溢れて下着を濡らした。その感触に背筋がぞわっとする。同時に、ひくひく疼くお尻の穴が硬いものによって無理やりこじ開けられて、固い先端がゆっくりと頭を覗かせたのがわかった。

 あああ、だめ、むり、もれるっ、でるっ……! 電車の扉が開いた瞬間、弾かれたように立ち上って外へと飛び出した。ここが最寄り駅ではないとわかっていたけれど、これ以上は無理だった。
 薄暗い駅のホームに降り、辺りを見回す。人の姿は無く、下に降りる階段があるだけだ。
 泣きそうになりながら、階段に向かった。精一杯急ぐけれど、膝が震えて、足が縺れる。それでも必死に早歩きして、階段を下りた。手はズボンの前から片時も離せず、ぎゅうぎゅうと先端を揉んで尿意を誤魔化す。幼い子供のような姿だったけれど、手を離した瞬間、一気に溢れ出してしまいそうだった。

 あ、ああ、でる、でるでるでる、トイレ、トイレどこっ……! お尻の間に嫌な異物感を感じる。そのまま息んでしまいたいのを必死に堪えていた。ごろごろと唸るお腹はずっしりと重い物を出口に向かって押し出していた。
 階段を降り切って、辺りを見回す。張り詰めたお腹を庇うように、腰が引けていた。じっとしていられず、足はその場でせわしなく地面を踏む。奥に見慣れたピクトグラムを見つけて、最後の力で駆け出した。

 強すぎる生理現象にぐちゃぐちゃになりながら、縺れた足でトイレに飛び込んだ。昔ながらの古いトイレはくすんだ青いタイルが貼られていて、どこか薄暗い。入って左手の壁際に小便器が並び、正面の奥には個室が二つ並んでいる。どちらも扉が開いていて、一段高くなった和式トイレがそこに鎮座していた。
 それを見た瞬間、頭より先に体が反応していた。まだ駄目なのに、濡れて張り付いた下着の内側で、先端からは熱い雫が零れだす。お尻の穴は咥えた重い塊を吐き出そうと少しずつ広がっていく。
「あ、あ、あ、だめ、ああ、あ、あっ……!」
 声にならない声が漏れた。ひくひく疼きながらおしっこを零す出口を手で強く塞ぎながら、不格好に和式トイレに駆け寄る。固く押さえた手の中で、おしっこがしょろしょろと噴き出し始めたのがわかった。一段上がろうと足を上げた瞬間、ぶす、とおならが漏れる。それと共にうんちが更に這い出て、下着をゆっくり持ち上げていた。

 両足が段の上に乗った瞬間、両手で思いっきりズボンと下着を膝まで引きずり下ろした。露わになった瞬間、お尻の穴はぐわっと開き、その奥にあった歪な塊を一気に吐き出す。膝を折るより、うんちがお尻から飛び出し、べちゃっと音を立てて落ちる方が先だった。
「……ぅあっ、ん…………んはぁっ……!」
 少し遅れて、下着に引っかかっていた性器がぶるんと外に出る。既に先端からは細くおしっこが溢れていて、外の空気に触れた瞬間、ぶしいい、と音を立てて勢いを増した。

 静かなトイレの中に激しい水音が響き渡る。野太い水流が駆け抜ける性器は緩く持ち上がり、和式トイレの水溜りにその照準を合わせていた。
 震える膝を折り、荒い呼吸を繰り返していた。一足先に溜まっていたものを吐き出したお尻の穴はくぱくぱと収縮を繰り返す。激しいおしっこの音を聞きながら、頭が真っ白になっていた。
 あ、ああ、で、た。一瞬のことにも関わらず信じられないくらい気持ち良くて、体の芯が痺れる。お腹はまだぐるぐると動いていて、溜まったものを出そうと思いっきり息んだ。
 一度窄んだお尻の穴は再び開き、お腹に残っていた野太いうんちを吐き出していく。ずるずると溢れていく感触に、背筋がぞくぞくした。長くて太いうんちは途切れつつ、先程出した物の上に次々と着地する。

 排泄の快感に酔いながら、出し切ろうと息を止めて腹に力を込める。あまりの量に自分でも驚いていると、最後がずぽっと飛び出して、瞬間、ぶうううぅ、と大きなおならの音がトイレに響いた。
 は、は、と呼吸を繰り返しながら、恥ずかしさに頭が熱くなる。けれどそれ以上に爽快感が全身を満たしていた。
 我慢に我慢を重ねたおしっこはまだ続いていて、じょぼじょぼと煩い水音を立て続けている。張り詰めていたお腹が楽になっていく感触に、熱い溜息が漏れた。

 おしっこの最後の一滴が出て、ぶるりと体が震えた。苦しかった衝動は全て消え去り、爽快感と快感が全身を満たしていた。必死に我慢した疲労感に、和式トイレにしゃがみ込んだまま、少しの間動けなかった。
 ああ、間に合った。良かった。……すっきりしたぁ……。溶けそうな気持ち良さに頭がぼんやりする。そのまま呆けていたけれど、しゃがみ込んだ体勢に足が疲れてきた。のろのろとトイレットペーパーに手を伸ばし、お尻を拭いてから立ち上がった。
 トイレの中には、野太いうんちがずっしりと積み重なっていて、その下には薄く色付いたおしっこがたっぷりと溜まっている。こんなに出したのか、と思い知らされて、顔が赤くなるのを感じた。

 服装を正そうとして、下着はおしっこでじっとり濡れていることに気付いた。気持ち悪かったがどうすることも出来ず、我慢するしかない。ズボンを履いてからレバーを踏むと、問題なく水は流れて、今出したものは綺麗さっぱり流されていった。
 さて、すっきりしたし帰ろうと後ろを向いて、そこで初めて気付いた。後ろに広がる青いタイルの空間。その向こうには駅構内の灰色のコンクリートまで見えている。この個室を区切るはずの扉は壁際で静かに佇んでいた。
 うそ、だろ。顔の熱さが全身に広がっていく。幾ら慌てていたとはいえ、扉を閉め忘れていた、なんて。信じたくないけれど、思えば鍵を閉めた覚えは無い。来た時とは違う意味で足が震えた。手を洗いながら、最中に誰も来てないことを祈るしかなかった。

 

初出:2025年5月6日(pixiv・サイト同時掲載)
掲載:2025年5月6日

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成人済の時々物書きです。 スカ、女攻め萌え。BLよりはNLやGLが好きです。
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