ひよりちゃんのうんち

 ※大スカ要素があります

 思ったよりぐっすり眠っていたみたいで、目を開けると頭がぼんやりした。
 周りの景色は寝る前と何も変わっていない。体を動かすと、足元に置いたリュックサックにぶつかる。すぐ目の前には椅子が、右には少し曇ったガラス窓があった。外の道路にはずらりと車が並んでいて、その光景にため息が漏れた。
 そうだ、と寝る前のことを思い出す。交通事故のせいで、道が渋滞してしまったらしい。しおりの予定到着時刻より遅くなると先生が言ってから結構な時間が経っていた。楽しかった二泊三日の校外学習の最後がこんなことになるなんて誰も思わなかっただろう。

 結構寝ていたと思うけれど、まだバスは渋滞の中にいるみたいだ。はあ、と溜め息が漏れると、隣から小さな声が聞こえた。
「あ、みいちゃん……」
「バス、まだ動かないんだね。ひよりちゃん、ずっと起きてたの?」
「うん。あんまり眠くなくて」
 隣の席のひよりちゃんは行儀よく座っていた。両手は膝の上、膝丈のクリーム色のスカートの上にちょこんと並べられている。
「まだ掛かりそうだね」
「うん……」
 ひよりちゃんの表情は暗い。俯きがちで、小柄な体が居心地悪そうに時々揺れていた。
 バスの中の空気は澱んでいた。備え付けの小さなモニターからは何かのアニメ映画が流れていたけれど、見ている人は殆どいなさそうだ。お喋りする人もいたけれど、大半は元気を無くしてじっと座っているだけだった。

 手持無沙汰で、窓の外を見るけれど面白いものはない。ひよりちゃんとトランプでもしようかなと思ったその時、後ろの席の子がバスの通路に出てきて、私たちの横を通り抜けた。他に興味を引くものがなくて、つい意識を向けてしまっていた。
 彼女はバスの一番前、添乗員さんと担任の先生がいるところで足を止めた。そこで先生と何か話しているみたいだけれど、小声なので断片的にしか聞こえない。
『もう……』
『……から、どうしてもなら……』
『え、で、でもっ……!』
『他にも……、……仕方ない……』
 何の話だろう。酔ったとか、体調が悪くなったとかかな。そんなことを考えていると会話は終わって、彼女は通路を引き返してきた。伏せた顔は真っ赤で、強張っている。
 そして、その手には白くてくしゃくしゃの何かが握り締められていた。はっきりとは見えなかったけれど、あれは……ビニール袋?

 彼女は後ろの席に戻る。そして、隣の席の子と声を殺して話しているのが微かに聞こえた。先程より距離が近いので、会話はしっかり聞こえてしまった。
『どうだった?』
『……降りれるとこ、ないって』
『え、ど、どうするの? 我慢、できる?』
『……無理なら、これにしなさいって……。他にもした子、いるから、仕方ないからって……』
 聞こえてきた会話に驚いて、背筋が伸びた。つい後ろを向きそうになりながら、流石にそれは駄目だと慌てて止まる。
 隣のひよりちゃんがこちらを見た。その顔は赤くて、彼女にも聞こえていたんだと思う。

 何が我慢できないかは言っていなかったけれど、想像はついた。
 でも、どうするんだろう。他人事ながらはらはらしていると、会話の声は先程より更に小さくなる。それなのに、何故か良く聞こえてしまった。
『……ごめんっ、もう無理なのっ、ごめんねっ……!』
『わ、わかった。あ、席、交代しよ。こっちの方が見えないから』
『ごめん、ごめんねっ、あ、あっ……!』
 そこで会話は途切れる。それから布がわさわさと擦れて、ビニール袋がくしゃくしゃ鳴る。そして追いかけるように、小さな水音が聞こえ始めた。
 退屈な映画と微かな会話に、じゅうじゅうと水音が混じる。でも、誰もそれを指摘しなかった。皆が聞かないふりをしていたんだと思う。

 バスは時折動いているとはいえ、今は密室に閉じ込められたのと変わりない。こんな状況なら仕方ない。今は平気でも、渋滞がもっと続いたら、自分も我慢できなくなるかもしれない。
 そうなったら、あの子と同じようにビニール袋に済ませるか、おもらししちゃうかの二択を選ばないといけないんだ。
 ビニール袋を使わざるを得ないということは、本当に限界だということだ。だから、おしっこはいっぱい出てしまう。しゅうしゅうと水音は続いて、ビニール袋がかしゃかしゃ鳴る音がずっとバスの中に響き渡っていた。

 今のところ、私は全然平気だった。ひよりちゃんは大丈夫かなと、隣の様子をつい窺ってしまう。通路側の席で、ひよりちゃんは固い表情でじっと自分の膝を見つめていた。
 優しくて、大人しくて、恥ずかしがり屋のひよりちゃん。体も小さいから、我慢できる量も少ないんじゃないかと、そんなお節介なことまで考えてしまって、すごく申し訳ない気持ちになった。
 今のうちに席を交代してあげようかな。でも、先生の所に行きやすいように、まだ通路側の方が良いかな。色々考えていると、つんと鼻に突くにおいを感じた。

 誰かがおならをしたみたいだ。仕方ないとは思うけれど、においが強くて、つい顔を顰めてしまう。やだなあと思っていると、隣のひよりちゃんが真っ赤な顔で俯いて、小さく震えていた。
 ……もしかして、今の、ひよりちゃん? 直接確認するなんて口が裂けてもできないけれど、彼女の様子が何より物語っていた。
 行儀よく膝に乗せられていた手は、いつの間にかスカートの上から自分のお腹に当てられていた。赤かった顔は白くなって、固く強張っている。小さな唇が震えて、時折苦しそうに息を吐きだしていた。

 私の気のせいかと思ったけれど、また、ぶぶっと隣からくぐもった音が聞こえて、ひよりちゃんの体がびくっと跳ねた。そして、つんと強いにおいがまた漂ってくる。
 やっぱり、ひよりちゃんだ。お腹が痛くなっちゃったのかな。おならくらい仕方ないと思う。でも、おならだけじゃなくて、大きい方をしたくなったなら、すごく大変なことだ。
 隣の席で勝手にはらはらしていると、ひよりちゃんは白い顔でちらりとこちらを見た。様子を窺ったつもりだったのか、私と目が合うと慌てたように顔を伏せてしまう。
 前髪の下、白い額には汗が滲んでいた。顔色は蒼白で、小さな唇が震えていて、尋常ではない様子だ。見ているだけでも辛そうだった。
 何か助けてあげたいけれど、何ができるだろう。代わりに先生に言いに行こうかと思ったけれど、流石にお節介すぎるし、言ったところでどうなるだろう。
 ビニール袋を渡されても、こんなところでうんちをするなんて可哀想すぎる。どこかでトイレを借りられないかなと思って外を見たけれど、そんな場所は見当たらない。

 俯いたまま、ひよりちゃんがこちらをちらりと見た。いつの間にか体は前かがみになって、お腹を抱えるような状態になっていた。小さな体はぶるぶる震えていて、大きな目は涙でうるうるしていて、今にも泣きだしてしまいそうだ。
「……大丈夫?」
 顔を寄せて、他の誰にも聞こえないように小さな声で言う。ひよりちゃんは口を開いたけれど、何も言わなかった。代わりに首を振ったけれど、それも縦なのか横なのかわからない曖昧さで、結局返事がどちらなのかはわからなかった。
「え、っと、何か私にできること、ある? 先生呼んでこようか?」
 そう言うと、彼女は明確に首を横に振った。そういう反応をされると、私にできるのは隣で大人しく座っているだけだ。
 私達の会話はそこで終わった。はー、はー、とひよりちゃんの苦しそうな声がただ耳に届いてくる。もう平静を装う余裕もないみたいで、お腹を抱えて、スカートの中の両足が揺れていた。
 それ以外の音は聞こえなかったけれど、時折鼻に突くにおいを感じた。他の人にも気付かれるんじゃないかと、私まで不安になってはらはらしていた。

 それから少し時間が経ったけれど、バスは殆ど動かない。時折、どこかの席から微かな水音が聞こえていた。ひよりちゃんはじっと座ったまま震えていた。
 大丈夫? ともう一度声を掛けようとした時だった。
「っ、あっ……!」
 隣から小さな悲鳴が聞こえたと同時に、ぶぶうっ! と破裂したような音が鳴り響く。白く強張っていた顔が一瞬赤く染まったけれど、すぐに蒼白な顔色に戻ってしまう。
「……みい、ちゃん……」
 蚊の鳴くようなか細い声だったけれど、ちゃんと聞こえていた。顔を寄せると、冷や汗で額を濡らしたひよりちゃんがこちらを見る。
「だ、大丈夫? 先生呼んでくる?」
 ふるふるとひよりちゃんは小さく首を横に振った。震えた唇は苦しそうに息を吐きだす。その合間に、本当に小さな声が零れだした。

「……も、う……でちゃ、う……」
「わ、わかった、先生に袋貰ってくるから、もうちょっとだけ……」
「むりっ、もうむりぃ……! でちゃう、うんちでちゃうの、もうでるの……!」
 ひよりちゃんは泣き出していた。声は震えていてぐちゃぐちゃで、堰を切ったように言葉が溢れ出す。大きな目からぼろぼろと涙が零れだして、白い頬を濡らした。
 その言葉の合間にも、ぶぶ、とくぐもった破裂音が聞こえる。本当に限界寸前の様子に私も慌ててしまう。何とか助けてあげたいけれど、余裕は欠片もないみたいだ。すぐに何かしてあげないと、ひよりちゃんはうんちをおもらししてしまう。

 袋を貰いに行く余裕はない。代わりのものと考えて、お母さんに予備で持たされたビニール袋を思い出した。
「ま、待ってね。すぐ用意するから、もうちょっとだけ待って」
「でちゃう、もうむり、でちゃうの、ずっとうんちしてないの、もうむり、でる、でるっ……!」
「待って、待って待って待ってっ、ちょっとだけだから待って!」
 弱音を漏らし続けるひよりちゃんを宥めながら、自分のリュックに手を伸ばす。綺麗に折り畳まれたビニール袋を外側のポケットから引っ張り出す。お母さんが二枚入れていたみたいで、ちょうどよかった。

 本当ならこっそり用意してあげたら良いのだけれど、私も慌てていてそんな余裕はなかった。がさがさと音を立てながらビニール袋を広げて重ねる。
「ひよりちゃん、こっち!」
 手を引っ張って、窓際の席にひよりちゃんを促す。何とか腰を浮かせた彼女は、震える足でよたよたと移動する。クリーム色の柔らかなスカートの下で、ぶ、ぶす、とおならの音が聞こえた。
「みいちゃん、でる、でる……」
「あとちょっとだけ! ごめんね、下着触るね!」
 片手でビニール袋を掴んで、反対の手で彼女のスカートに触れる。ひよりちゃんは移動するだけで精一杯で、窓の方を向いて立ったまま、お尻をこちらに突き出していた。

 スカートを持ち上げると、その中から濃いにおいがむわっと広がった。むせかえるにおいに耐えながら、中の下着に手をかける。ひよりちゃんが前かがみになっていたので、スカートはお尻の上に乗って良い具合に引っかかってくれた。
 幾ら仲が良くて、この校外学習中に一緒にお風呂に入ったとは言え、下着を脱がせるなんて初めてだ。
 ビニール袋を持った手も添えて、何とか彼女の下着を下ろす。ぷりんと真っ白なお尻が露わになって、その柔らかな膨らみの中央には焦げ茶色のごつごつした歪な塊が頭を覗かせていた。
「ん、ん、んんっ……!」
 もう出てる! 出ちゃってるし、ひよりちゃんは息み始めているしで、私は大慌てだった。下着から手を放して、慌てて両手でビニール袋を広げる。その間にも焦げ茶色の塊はお尻の穴を広げて、ぬるぬると伸び始めていた。

 袋をお尻に当てる。焦げ茶色が乳白色の向こう側になった瞬間、ずるずるずる! と歪な塊が尻尾のように一気に伸びた。
「ん、んんぅ……っ、……んはぁっ……!」
 ひよりちゃんの気持ち良さそうな声と共に、どさっ! とビニール袋に重みが増して、中がふわっと曇った。
 二枚重ねたビニール袋越しに、長いうんちが見える。とても大きくて重くて、小さなひよりちゃんのお尻から出てきたとは思えないものだった。
 わ、と驚きのあまり声が出たけれど、ひよりちゃんには聞こえなかったみたいだった。
 さっきまで微かに感じたにおいが一気に強くなる。あまりのにおいに思わず吐き気が込み上げたけれど、ぐっと堪えて、込み上げる唾液を飲み込んだ。

 何はともあれ、おもらしにならなくて良かった。安心していると、ひよりちゃんは再びぶるぶると震えた。え、と驚いている間に、一度は窄んだ穴がまた開き始めて、先程と同じようにうんちが尻尾のように伸び始めた。
「……んん、んぅ……!」
 ひよりちゃんが息むのに合わせて、茶色い尻尾が伸びる。焦げ茶色で、ごつごつしているうんち。さっきと同じくらい大きくて、長い。途中で千切れて、またビニール袋に重さが増す。
 千切れたうんちはまだ長さを伸ばしていく。そんなに我慢してたんだ、と関心すら覚えるくらい、ひよりちゃんはたくさんうんちを出していた。

『もうむり、でちゃうの、ずっとうんちしてないの!』
 さっき、ひよりちゃんはそんなことを口走っていた。『ずっと』って、もしかしてこの校外学習の間、一度もうんちしなかった、のかな。二泊三日の間『ずっと』?
 驚いている間に、どさっとビニール袋に重みが増す。真っ白なお尻とは似てもに使わない、焦げ茶色の塊。小さな可愛いひよりちゃんから出てきたとは思えない、ごつごつした大きなうんちが、私の持つビニール袋にたっぷり入っていた。
「っ……、ふ、あぁ……」
 ひよりちゃんは大きく息を吐く。ビニール袋はまだこのままの方が良いのか、もう離しても良いのかわからずに固っていると、ひよりちゃんが体を起こした。お尻の上に乗っていたスカートがばさりと落ちて、私の手の上に被さった。
 大丈夫かな、とそっとビニール袋をお尻から離す。真っ白なお尻も、さっきまでうんちをたくさん出していたお尻の穴も、柔らかなクリーム色のスカートに隠されて見えなかった。

 つい自分の手元、ビニール袋の中身に目を向けてしまった。さっきまで乳白色越しに見えていたものが、何の遮りもなく見えた。
 焦げ茶色の深い色をしたうんちが三つ、ビニール袋の中に横たわっている。すごく太くて、長い。人のうんちを見るのは初めてで、それが可愛いひよりちゃんので、ついしっかりと見てしまう。でも、むせかえる強いにおいに吐き気がこみあげて、慌てて両手を寄せて袋の口を塞いだ。
「みいちゃん、あ、あのっ……」
 か細く消え入りそうな声でひよりちゃんは私を呼んだ。
「あ、私のリュックのポケット、ティッシュ入ってるよ」
「ぁ、あ、ありがと……」
 ひよりちゃんはごそごそ動いてお尻を拭った。汚れたティッシュを持った手がどうしようかと迷っていたので、うんちの入ったビニール袋を近付けて口を広げる。ひよりちゃんは小さくお礼を言いながらその中にティッシュを捨てて、そのまま私の手から袋を受け取った。

 小さな手がビニール袋の口をぎゅっと縛る。それからひよりちゃんはどうしようかと視線を彷徨わせたけれど、結局自分の足元にそっと置いた。
 そのまま窓際の席にひよりちゃんが座ったので、今度は私が通路側に座る。
 ちらりと隣を見ると、ひよりちゃんの足元で、私のリュックサックと口を縛ったビニール袋が並んでいるのが目についた。

「あ、あの、みいちゃん、ご、ごめんね、きたない、の、ごめんね、ごめんなさい……」
 ひよりちゃんは俯いたまま、小さな声でごめんなさいを繰り返していた。大きな目には涙が溜まって、時折ぽろぽろと零れだす。
「だ、大丈夫だよ、ひよりちゃん、泣かないで。間に合って良かったね」
「ご、ごめんね、ごめんなさい、くさい、し、きたない、のにっ……」
「大丈夫だよ。バスが動かないから仕方ないよ。だから泣かないで。ね? 大丈夫だから」
 私の言葉にひよりちゃんはこくこくと頷く。頭を撫でてあげると、その涙はちょっとだけ落ち着いた。

「ほ、ほんとにごめんね……」
「大丈夫だよ、本当に気にしないで。もっとサービスエリアとかコンビニがあれば良かったのにね」
 ひよりちゃんは小さく首を振る。
「……あ、あの、内緒にしてね。私、お外でできないの……」
「え、じゃあお泊りの間、一度もしてないの?」
 恥ずかしそうに彼女はこくりと頷いた。
「だ、だって、恥ずかしくて……。ちゃんとお家まで我慢するつもりだったんだよ……。ご飯、あんまり食べないようにしてたのに……」
「でも、あんまり我慢しすぎると病気になるってお母さんが言ってたよ?」
「で、でも、うんちするの、恥ずかしい……」
 ひよりちゃんは顔を真っ赤にしていた。その気持ちはわかる。わかるからこそ、何か力になってあげたいと思った。

「じゃあ今度、外で行きたくなったらこっそり言って。人がいないトイレ、一緒に探そう? 駄目でも見張っててあげるから、大丈夫だよ」
「……うん。ありがと、みいちゃん、ありがとう……」
 ひよりちゃんの手が私の手にちょんと触れる。なんとなく顔を見合って、二人で笑って、手を繋いだ。
 ひよりちゃん越しに窓の外を見る。渋滞は続いている。バスが動くまでまだ掛かりそうだったけれど、重い空気はずいぶん軽くなったように感じた。

 

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初出: 2023年1月9日(pixiv・サイト同時掲載) 掲載:2023年1月9日

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成人済の時々物書きです。 スカ、女攻め萌え。BLよりはNLやGLが好きです。
18歳以上ですか? ここから先は、成人向けの特殊な趣向の小説(女の子、男の子のおもらし等)を掲載しています。